認知症対策を拙速に進めず、患者に真に寄り添った丁寧な議論を求める意見書

報道によると、政府は6月中に「認知症対策大綱」を決定するとのことであり、また自民党と公明党は議員立法での「認知症基本法案(仮称)」を今国会に提出の方向とのことである。

高齢化が急速に進む中、直近の統計では、高齢者の7人に1人が認知症患者であり、2025年には5人に1人という推計となっている。本人と家族の生活に大きな影響を及ぼし、医療・介護費の増加にも大きく関与することは言うまでもない。

当該「大綱」と「法案」はともに認知症患者の「尊厳ある生活」を実現する「共生」の理念と並んで、医療費抑制につながる「予防」が大きな柱となっている。

しかしながら、認知症発症のメカニズムおよび因果関係は未だ完全に解明されておらず、発症を阻止する医薬品の開発も遅れている。徒らに「予防努力」が強調され、認知症発症が「予防努力の不足が原因」などと患者と家族が非難されることは避けるべきである。政府の「大綱」案提示後、発症予防の数値目標が盛り込まれていることに対して、患者や専門家からの批判が相次ぎ、先ごろ取り下げられたことは当然のことと考える。

早くから認知症対策を進めている英国では、発症予防などの数値目標設定は避け、症例や臨床試験などのデータを集約し、最新の科学的知見を対策に活かせる体制づくりに力を入れてきた。我が国も見習うべきである。

政府と国会においては、「大綱」と「法律」策定を拙速に行うことなく、誰もが認知症になりうるという認識のもと、科学的知見の集積と活用を急ぎ、患者に真に寄り添った丁寧な議論を進めることを求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2019年6月28日
千葉県議会

内閣総理大臣
総務大臣      宛て
財務大臣
厚生労働大臣