〈要望書〉新型コロナウィルス対策状況下におけるDV・児童虐待防止に関する要望

市民ネットワーク千葉県は、千葉県に対し「新型コロナウィルス対策状況下におけるDV・児童虐待防止に関する要望書」を提出しました。

新型コロナウィルス対策状況下におけるDV・児童虐待防止に関する要望書

千葉県知事森田健作様

世界的な新型コロナウイルス感染症の流行を受け、国内でも学校の休校、外出自粛の動きが拡がっています。
市民ネットワーク千葉県では「新型コロナウイルスの感染拡大防止対策による影響についてのアンケート」を実施しており、現在150以上の回答が寄せられています。その中には、休校になったことで子どもと過ごす時間が増えた、これまで通りの日常生活がおくれない、仕事がテレワークになった、パートが無くなった、等々、生活上の不安などを訴える方がいます。
家庭に閉じこもる生活が続くことで懸念されているドメスティック・バイオレンスや児童虐待の増加は、すでに世界的な傾向となっています。報道によれば、ロック・ダウンを実施しているイタリア、英国、フランス、オーストラリアなどでのDV、児童虐待の急速な増加が見られ、先日オーストラリア政府は、DV対策資金として1億5000万豪ドル(約100億円)を投入すると発表しているほか、各国での対策が具体化しつつあります。
国内でも相談件数の増加が見られるとして、DV被害を受けた女性や子どものシェルター運営などを行う67の民間団体らによるNPO法人「全国女性シェルターネット」が、3月30日、相談体制の確保や報道への配慮を求める「要望書」を国に提出したところです。
本県においても、流行の長期化が予測される中、上記「要望書」に基づいた下記項目の速やかな実現を要望いたします。

 

1)公共施設の休館や閉鎖の措置があっても、県内3箇所の「配偶者暴力相談支援センター」、13箇所の「健康福祉センター」をはじめ、公的並びに民間のDV・虐待相談窓口の運営を継続し、相談・支援体制のさらなる拡充を求めます。
外出自粛、加害配偶者の在宅などにより、面談、電話相談ともに困難なケースも発生しています。LINEなどSNSを活用する相談のあり方の改善を早急に検討・実現してください。

2)県の一時保護等の措置業務が滞りなく行われるよう求めるとともに、被害者が市町村や民間シェルターに逃げ込んだ場合、自動的に一時保護を開始すること、また民間団体の経費については公的資金による負担を求めます。また、一時保護期間についても、コロナウイルス対策の状況に応じた柔軟な対応を要望します。

3)雇用状況が急激に悪化しています。とりわけ経済的困窮に陥る母子家庭の増加は確実と予測されます。
生活困窮者への一時給付金等の導入に際しては、DV被害者の現状を鑑み、世帯単位ではなく個人単位での救済を求めます。一定の条件を満たすDV被害者が申し出た場合には、世帯主でなくとも給付が受けられるようにするなど特別措置を実施してください。

4)上記の現金給付のみではなく、収入が生活保護基準を下回る被害者には生活保護の適用拡大を求めます。

5)シェルターなどの利用者・スタッフに感染者が出た場合、自治体発表の報道に個人情報が詳しく出ないよう、配慮をお願いします。

6)本県にも多くの外国人が居住しています。移住者特有の課題を抱える人も多く、DVや虐待は深刻さを増すと考えられます。情報の周知、不安・心配の緩和と解消に、格別の配慮をお願いいたします。

以上、人権の尊重と拡張を活動の大きな柱としてきました地域政党「市民ネットワーク」として、強く要望いたします。

2020年4月6日
市民ネットワーク千葉県 共同代表
伊藤とし子 小室美枝子