第一空挺団の米・英・豪軍参加の「降下訓練始め」開催中止を求める申し入れ

「第一空挺団の米・英・豪軍参加の「降下訓練始め」開催中止を求める申し入れ」

内閣総理大臣 岸田文雄殿
防衛大臣 浜田靖一殿
外務大臣 林芳正殿
第1空挺団長 兼 習志野駐屯地司令 若松純也殿

 陸上自衛隊習志野駐屯地の第一空挺団は、例年1月に開催している「降下訓練始め」について、本年1月8日の開催とその概要を公表しました。
 この「降下訓練始め」は表向き「1年間の降下安全を祈願するための行事」とされていますが、実質上「軍事訓練」を一般市民に公開している軍事アトラクションです。しかも2017年からは米陸軍の参加が常態化しています。私たち市民ネットワーク千葉県は、周辺100万の人口を抱える市街地に位置する習志野演習場での米軍の演習参加は、「日米軍事一体化」を国内で唯一市民生活の中で見せつけ、既成事実化するものとして、一貫して抗議を重ねてきました。
 しかも本年は、イギリス陸軍とオーストラリア陸軍も参加するとのことです。陸海空自衛隊と米陸海空軍に支援されて、「自由で開かれたインド・太平洋(FOIP)」の名の下に、日・米・英・豪のまさしく多国籍軍による軍事演習が人口密集地に位置する習志野演習場で展開されることになります。また、コロナ禍で3年間一般公開が行われなかった本「降下訓練始め」が、今回再び公開されることで、異常なまでに軍事的緊張が煽られる雰囲気が醸成されかねません。
 折しも、初めて中国を明確に「脅威」と位置づけ、軍事力の大幅な強化の方針と、財政規律を無視し、増税をはじめとして私たちの市民生活を圧迫してまで強引に防衛費を倍増する予算案が決められたばかりです。また昨年は、 QUAD首脳会議や「水陸両用作戦」国際シンポジウムが日本で開催され、これまでにない多様な国々との大規模な共同軍事演習も日本周辺で実施されました。年末にはイギリス、オーストラリアとの間での「準軍事同盟」の調印及び早期調印の方針が確認されています。今回の「降下訓練始め」への英・豪軍の参加が、日本の安全保障と外交のあり方を一方的に軍事優先にしていくことに結び付くのではないかと懸念します。
 「地域から平和をつくる」を政策の重要な柱として活動を続けて来た私たち市民ネットワーク千葉県は、私たち千葉県民の生活の場にオスプレイと露骨な軍事演習が押しつけられていることには憤りを禁じ得ません。隣国を徒に「敵国」と想定し、憲法の平和主義を蔑ろにする現政権のあり方に強く抗議し、1月8日の米・英・豪軍の参加による「降下訓練始め」開催の中止をここに求めるものです。

 2023年1月7日

                   市民ネットワーク千葉県 共同代表 伊藤とし子 岩崎明子