幕張メッセで開催される「武器見本市」への協力中止を求める要請書提出

1月26日(木)社民党、新社会党、緑の党と市民ネットの連盟の要請書を手渡し意見交換しました。

幕張メッセで開催される「武器見本市」への協力中止を求める要請書

千葉県知事 熊谷俊人様

 千葉県千葉市の幕張メッセではこれまでに3回の武器見本市が開催されました。昨年1月にも国際武器見本市DSEI JAPAN(ディーセイ ジャパン)が予定されていましたがコロナ感染症の余波で延期。新たに本年3月15日から17日にかけて開催が計画されています。
 DSEI JAPANは「日本で開催される唯一の大規模で完全に統合された防衛イベントであり、日本およびより広いアジア太平洋市場への前例のないレベルのアクセスを提供する」と謳っています。ここでは世界中の兵器産業、国家の軍関係省庁や政府関係者が集結し、兵器の宣伝、情報交換、売買契約などが行われます。また日本の防衛省や軍需企業などから、軍事的緊張の高まりを主張し、軍事同盟や軍備増強の必要を強調する講演、メディアや国民向けのアピール活動などが行われます。
 とりわけ今年のDSEI JAPANは、昨年末に明確となった日本の防衛戦略の大転換を受けて、新たな役割を与えられつつあります。「防衛力に関する有識者会議報告」は次のように述べます。「防衛産業は防衛力そのもの」「競争力のある国内企業が優れた装備品やデジタル技術などを供給できるよう防衛産業に関する課題を総ざらいし、防衛省に関係府省を加えた体制を整えて、より積極的に育成・強化を図っていく」「防衛装備移転三原則および同運用指針などによる制約をできる限り取り除き、日本の優れた装備品などを積極的に他国に移転できるようにするなど防衛産業が行う投資を回収できるように(する)」等々。
 同報告は、国のあらゆる仕組みを軍事優先で作り直そうとしており、国民は「国を守る気概」を持つことを求められています。国の財政も信用・金融システムも軍事の要請の下に置かれ、大学や民間企業の科学技術研究も軍事と一体化。多くの港湾・道路・橋などの公共インフラも同様で、地方自治体の役割は住民の福祉と暮らしが本来の役割であるはずですがそこに軍事の要請が大きく入り込もうとしています。DSEI JAPANはこの大きな仕掛けの一部として開催されようとしているのです。
 県当局は2021年12月の私たちとの話し合いの中で、法令に違反していない以上貸し出さざるを得ないと述べました。しかし幕張メッセを武器展示場として貸し出すことは、自動車や家電や福祉機器の展示、音楽演奏会に貸出すのとはわけが違います。どんな意味でも県民の福祉や文化の向上に資するものではありません。従って、幕張メッセの設置管理条例が謳う「公の秩序や善良の風俗を害する恐れ」にあたるのは明白だと考えます。
 また県当局は、展示されるのはあくまで自衛隊法や防衛装備移転三原則が言う「防衛装備」であり、法令の範囲内のものなので問題なしと述べました。しかし実際に展示されているものは戦車、ミサイル、戦闘機、無人攻撃機、砲弾、軍事用電子機器等々で、しかもその多くは攻撃的な殺傷兵器であり、もはや設置管理条例にふさわしいかどうかのレベルを超えた問題です。こうした兵器・武器を展示することは、日本国憲法の平和主義や戦争放棄、非核平和千葉宣言、武力に拠らずに平和を追求するという精神に著しく反する言語道断な行為だと考えます。
 さらに言えば、国際武器見本市が市民社会のど真ん中で公然と開催されることの社会的な意味、国際的な意味について県当局は全く何にも考えていないようですが、私たちは自衛隊法や防衛装備移転三原則さえ大きく踏み超える危険な行為だと考えます。なぜならば、そこでは日本以外の第三国の政府や軍部の間での商談も行われ、後日関係国間で受け渡された武器が実際に使用される可能性が出てきます。そうなった場合、防衛装備移転三原則の運用のように日本の国会でその是非を問題にすることさえ出来ず野放し状態となります。そういう国際武器取引のプラットフォームが日本国内に公然と立ち現れ、それに国民は何の関与も出来ないという事態さえ生じうるのです。
 以上のことから、私たちは次のことを県当局に要請いたします。


1.武器見本市「DSEIJapan」に対し、公共施設である幕張メッセの貸し出しを許可しないでください。

2.兵器・武器の使用だけでなく、その生産・販売・輸出がもたらす非人道的結果について、県民に啓発する事業を開始して下さい。

3.千葉県議会の「非核平和千葉宣言」や県内各市町村の「非核平和都市宣言」に則った平和施策を、教育の場をはじめの県政の各分野で積極的に推進して下さい。