〔知事に要望書を提出〕関係者の理解と合意なきALPS処理汚染水の海洋放出に反対するよう要望します。

関係者の理解と合意なきALPS処理汚染水の海洋放出に反対するよう要望します。

千葉県は今、多様な「千葉の海の魅力」を紹介するキャンペーンを展開しています。
 その中で、銚子港は、水揚げ量全国1位を誇る千葉県の代表的な漁港であることから、今回のキャンペーンでは、とりわけ重要な位置を占める場所であると考えます。
 ところが、銚子港から直線距離で188㎞の地点には、東京電力福島第1原子力発電所があり、8月24日から、ALPS処理汚染水が海に放出される予定です。放出された処理汚染水は拡散し、海流に乗って銚子沖まで短期間で到達すると予想されます。

 福島第一原発事故による放射能汚染で、福島県沖の沿岸漁業は大きな被害を受けました。漁を制限しながら、魚の安全性を確認する「試験操業」が一昨年に終了して2年が過ぎましたが、水揚げは今も事故前の2割にとどまっています。汚染水の海洋放出が始まれば、再び深刻な打撃を受ける恐れがあり、「海続き」の銚子港をはじめとする千葉県の漁業も大きな影響を受けるのは間違いありません。

 ALPS処理水は安全だと政府は公言していますが、2018年メディアの報道で、トリチウム、炭素14、ヨウ素129、ストロンチウム90、ルテニウム106、セシウム137などが基準値を超えて残留していることが分かりました。しかも、放出する放射性物質の総量も定かではないまま今後30年から40年間放出され続けることは、千葉県の海にどのような被害や影響が出るか、大変危惧されるところです。

 2015年、政府と東京電力は福島県漁連や全漁連と、「関係者の理解なしには如何なる処分も行わない」という文書約束を交わしたにも関わらず、2021年4月13日、理解も合意もないまま、汚染水の海洋放出を決定しました。これに対し、全国の漁連は一貫して海洋放出に反対しており、今年6月の全漁連の通常総会で、放出に反対する特別決議があげられました。全漁連の会長は千葉県漁連の坂本会長であり、8月21日「依然として反対という立場は堅持する」と表明しています。千葉県知事としては、ぜひ坂本会長と歩調を合わせて頂きたいと願う次第です。
 全国知事会も、海洋放出に関してかなり厳しい提言を国に提出しています。

 熊谷知事におかれましては、千葉県の海の魅力を安心して全国に発信するためにも、全漁連の決議や全国知事会の提言を踏まえ、関係者の理解が得られない中でのALPS処理汚染水の海洋放出には反対するよう、強く要望いたします。 

2023年8月23日

                           市民ネットワーク千葉県 共同代表 
川口 えみ 伊藤とし子 岩﨑 明子