〈声明文〉全てのオスプレイ部隊の運用停止と撤去を強く求めます
2020年7月10日、陸上自衛隊配備「オスプレイV-22」17機の千葉県木更津駐屯地での「暫定配備」が始まりました。この「暫定配備」は防衛省と地元木更津市との協定で5年間と定められており、2025年7月9日開設の佐賀駐屯地へ移駐されることとなりました。7月6日に、木更津駐屯地から経由地の熊本県高遊原駐屯地への移動が開始され、8月中旬までに木更津駐屯地の全オスプレイが、佐賀駐屯地に移駐される予定です。
しかしながら、オスプレイの導入と運用に対し一貫して反対の立場に立ってきた市民ネットワーク千葉県として、今回の「暫定配備」の終了と全機移駐を全面的に評価することはできません。
第一の理由は、2017年から運用が開始された、日米オスプレイの定期点検拠点である「日米共通整備基盤」は、機能を拡張・強化しつつ今後も木更津駐屯地に置かれることです。米海兵隊は、2050年頃までオスプレイの運用が続くと発表しました。つまり、今後25年以上日米のオスプレイが5機程度木更津駐屯地内に常駐し、整備後の試験飛行の名目で木更津駐屯地周辺を飛行することになります。しかも、さらに飛行範囲を拡大する可能性も否定できません。
第二の理由は、ここ数年の事故の多発で露わになったオスプレイの構造的問題の解決を、日米両政府が全く行っていないことです。米海兵隊と空軍ともに認めている「プロペラとそのエンジンをつなぐクラッチが離れ、再結合する際に衝撃が発生する」問題は、「部品交換で99%解決できる」と報告されながら、交換は全く実施されていません。2023年11月に発生した米空軍のオスプレイの屋久島沖での大事故の要因は「ギアボックス内の歯車の破損」とされながら、原因究明されることもなく、新たな CV-22が横田基地に今年6月5日に配備されています。日米政府ともに事故対策については極めて無責任であると断じざるを得ません。
さらに、本来純粋な民間空港として開設された佐賀空港が、駐屯地開設とオスプレイおよび軍事ヘリコプターの大量移駐により巨大な軍事基地となることへの危惧です。周辺住民への騒音被害や事故の不安が高まること、漁業・海苔養殖の劣化・衰退など有明海への悪影響が懸念されます。そして、前バイデン政権以来、日米政府が意図的に強調している「台湾有事」という危機感をさらに強めていくことも不安です。
米海兵隊は沖縄普天間基地のオスプレイ部隊を80%縮小させました。来年にはオスプレイの生産ラインは完全終了します。すでにオスプレイは使い物にならない古めかしい厄介者なのです。
市民ネットワーク千葉県は、陸自オスプレイの佐賀駐屯地への移駐後の速やかな運用の全面停止と撤去、および普天間基地の米海兵隊、横田基地の米空軍、岩国基地の米海軍など、日本国内に配備されている全てのオスプレイ部隊の運用停止と撤去を強く求めます。
2025年7月11日
市民ネットワーク千葉県
共同代表 川口絵未 小室美枝子