IR(カジノを含む統合型リゾート)誘致について、市民ネットワーク千葉県は反対します
カジノを含む統合型リゾート(IR Integrated Resort)の導入について、千葉市では現在、その是非を含め情報提供を求めています。横浜市で昨年実施されたのと同様の手法で、IR参入の意向がある企業・団体など国内外の19事業者が参加登録し、8月27日にはそれらの事業者に対する事前説明会が開催されました。10月15日から28日にかけて意見提出がおこなわれ、想定の立地場所や事業構想、経済効果のほか、治安悪化の対策などについての情報も提供されることになっています。
千葉市は2014年12月に幕張新都心におけるIR導入可能性調査の報告書をまとめ、2015年1月に市民報告会を実施しています。市民からの主な意見として「地元住民に定期的にアンケートを行い、定点観測をすべきである。」「市が知りえた情報をその都度公開し、デメリットも含め積極的に情報を公開すべきである。」が挙げられています。また、2019年2月実施されたちばぎん総合研究所のWEBアンケート調査によると、IRの導入については、幕張新都心の地元である美浜区民の56%が反対し、賛成の21.2%を大きく上回ったとの結果が公表されました。
2018年7月に成立したIR実施法を受けて、自治体の誘致活動が本格化していますが、2019年8月末にはそれまで「白紙」としていた横浜市長が誘致を表明したことから、地元住民の反発がひろがっており、横浜市と同様の手続きをはじめた千葉市についても、今後の動向に注目があつまっています。
IR誘致については、「将来の人口減少にともなう財政悪化」を背景に、「観光客による消費額の増加」「税収の増加」「地元の雇用創出」「地元経済の活性化」が効果として挙がっていますが、同時に「カジノ」に関する以下のような懸念も寄せられています。
- カジノの利益は事業者に入るが、ギャンブル依存症対策の経費は地元自治体が負担することになり、市民の税金によってまかなわれること
- カジノの導入はギャンブル依存症を市民の間に誘発し、やめたくてもやめられないギャンブルによって経済的破綻、家庭破壊、健康損壊、精神崩壊など、市民生活に対して大きなリスクを生じさせる危険があること
- 現在でもイベント時には騒音・振動・光線・違法駐車・交通渋滞などの悪影響が生じているが、24時間営業のカジノにより、恒常的に生活環境が悪化すること
- カジノは滞在型の施設であることから、ごみ・医療・警察など、さらなるインフラ整備を自治体が負うことになり、それらが不足する場合は住民へのリスクを高めることになること
- 幕張新都心は地区計画によって住宅地区、商業地区、文教地区などの区分がされており、現在もパチンコ店などの遊興施設は認められていないにも関わらず、今からカジノを計画に入れることは既存施設や住民の利益に反するものであること
- 離れ小島ではなく、市民生活に近い場所で反社会的勢力が関与することにより、健全なまちづくりが阻害され、将来リスクが増えること
- 文教地区や住宅地区には幼児から大学生までが通っているが、治安の悪化により通学時は親の付き添いが必須になるなど青少年に対する安全性への懸念が高まること
- 違法ドラッグの取引などが身近におこなわれる可能性もあり、青少年をとりまく環境に悪影響があること
- 犯罪に関わる資金が流入し、マネーロンダリングなどが行われることによって、「千葉」「幕張」のイメージの低下が国内外に及ぶこと
以上から、千葉市におけるカジノは「市民生活に悪影響をもたらす」「まちのイメージダウンにつながる」ことになります。また、千葉市議会では会派(市民ネットワーク)が2013年12月にIR整備を推進する決議に反対を表明しています。市民ネットワーク千葉県はIR(カジノを含む統合型リゾート)誘致に反対します。
2019年9月9日
市民ネットワーク千葉県 共同代表 伊藤とし子
松井佳代子