〈声明文〉市民ネットワーク千葉県は、参議院選挙が加速させた「差別と分断」に反対し、公正な社会と民主主義の再生をめざします。
7月20日投開票の第27回参議院選挙は、自民党公明党の与党が参議院でも過半数割れとなる結果をもたらしました。これにより、与党は国会・行政運営において、一層野党との交渉・協議が必要となります。
一方で選挙戦において、排外主義的な主張がおこなわれ、根拠のない情報が大量に拡散されたことを見過ごすことはできません。一例をあげれば、外国人による犯罪が増えたとの言説ですが、実際の外国人による犯罪の認知件数は20年前より34%減少しています。外国人人口がこの20年で2倍に増えたことを考えると、明らかに大幅な減少傾向にあります。しかし選挙戦では、このような誤った主張が繰り返され、強調されたこともあり、自民党をはじめ過半の政党が外国人に対する厳しい政策を選挙の論戦に上げることとなりました。
本来、選挙戦で争点になるべき外国人に関する課題は、名称が変わっても改善がみられない技能実習生問題、共生を目指す対応や教育支援の強化だったはずです。これは、参院選直後に行われた全国知事会が発出した国への提言にある、「国は外国人を『労働者』とみているが、自治体からみれば日本人と同じ『生活者』であり『地域住民』」、「生活支援や日本語支援・自治体の多文化共生施策への財政支援強化の要請」からも明らかです。
他にも昨今の米問題、物価高騰、エネルギー政策、など喫緊の重要な争点がありましたが、選挙戦が進むにつれ置き去りにされてしまいました。さらに、マスコミでも、外国人問題を取り上げる報道が劇的に増えました。誤った情報が氾濫し、自由でまともな議論が阻害されたことは、「民主主義」の基本をないがしろにするものです。
外国人排外政策を表に打ち出した政党に共通するのは、日本国憲法の平和主義という根本理念をいとも簡単に否定し、さらに国民の権利を制限し、国家の権限を強化しようとする改憲志向です。
今回の参院選は、今世紀に入って着々と進められてきた南西諸島の対中国軍事要塞化、税金を空費する軍事大国化がエスカレートする中で行われました。まもなく施行80年を迎える平和憲法の理念を、私たち主権者はあらためて確認しなければなりません。一部の政党の独善と独走を許さず、主権者である私たち市民のもとに政治を取り戻すことが必要です。
今こそ、地域から、生活者の目線で、声を上げていかなくてはなりません。性別、国籍、年齢、障がいのあるなしを問わず、差別のない、誰もが安心して安全に暮らせる公正な社会を作りあげるために、今ほど市民の力が試されているときはありません。
「地域から命と平和を守る」活動を続けてきた地域政党である市民ネットワーク千葉県は、直面するこの危機に対し、民主主義の再生をめざし、情報発信と実践的な地域活動を続けていきます。
2025年8月2日
市民ネットワーク千葉県
共同代表 川口絵未
小室美枝子