習志野演習場での降下訓練に抗議しました

今回の米軍機を使用した習志野演習場での降下訓練に抗議し、今後の日米共同訓練の中止を求める申し入れ

内閣総理大臣 安倍晋三殿
防衛大臣 河野太郎殿
外務大臣 茂木敏充殿

昨日と本日の二日間にわたって、米空軍横田基地所属のC-130J輸送機を使用した第一空挺団隊員のパラシュート降下訓練がここ習志野演習場で行われた。
同様の降下訓練はすでに昨年大分県日出生台演習場で、今年は宮城県王城寺原演習場で実施済みであるが、今回のように住宅密集地での訓練は初めてのことである。
習志野演習場は、陸自使用の降下訓練場として最も狭隘であり、周辺に約100万人の住民が暮らす人口密集地域にある。降下訓練中の事故も繰り返し発生している。そこで米軍機を使用した大規模な降下訓練が夜間も含め行われ、周辺住民に何ら事前情報が伝えられなかった。
しかも、今回は輸送機は米軍横田基地から海上自衛隊厚木基地に移動、習志野基地より陸路で移動した空挺団員を搭乗させ習志野演習場に飛来し、降下訓練後は横田基地に帰着というコースを複数回くり返した。これは陸自,海自、米空軍が一体となり、まさしく首都圏全域を使った「実戦訓練」にほかならない。1回の訓練に使用されたC-130J輸送機は2機、参加した空挺団員は1日240名であり、移動のための車両は同じく20両と規模も大きい。公道を使い公然と日米軍事一体化を首都圏住民に見せつける露骨な軍事アトラクションが、貴重な税金を使って強行されたのである。
さらに、今回の訓練が通知されたのが、安倍晋三首相が「敵基地攻撃力保有」を方向付けた「談話」発表と同じ9月11日であることもここに問題としなければならない。「敵基地攻撃力保有」は、日本国憲法の平和主義に真っ向から敵対するものであることはもとより、自衛隊の位置づけをこれまで政府が説明してきた米軍の「後方支援」から大きく逸脱する「前線代替戦力」に変更するものである。今回の日米共同の降下訓練は、そうした自衛隊のあり方を実際に体現し市民の前に可視化したものと見なさざるを得ない。この見事なまでの平仄の合わせ方には、現在の「日米同盟」なるものの米国追従の実像が現れているのである。
私たち市民ネットワークは、平和憲法の理念を破壊し、私たちの市民生活の安全を一方的に脅かす日米軍事一体化に反対し続けた市民の地域政党の立場から、今回の日米共同降下訓練に強く抗議するものである。ここ数年常態化している「第一空挺団降下訓練始め」への米軍参加も含め、今後一切の日米共同軍事訓練の中止をここに求めるものである。

2020年9月15日
市民ネットワーク千葉県 共同代表 伊藤とし子
小室美枝子