〔要望書〕沖縄戦戦没者の遺骨等を含む土砂を基地建設に使用しないよう求める要望書
衆参議長、首相、官房長官、外務・防衛・厚労・沖縄担当各大臣と沖縄防衛局長、各政党に送付しました。
アジア太平洋戦争終結から76年、沖縄県では6月23日の「沖縄戦慰霊の日」を迎えます。
6月19日より23日の当日まで、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんが、戦没者の遺骨が混じる土砂の辺野古新基地建設への使用に抗議するハンガーストライキを、3月に続いて行っています。
全額私たちの税金で建設される米海兵隊辺野古新基地に使われる埋め立て用土砂の総量は、2,018万立方メートル(東京ドーム17杯分)、うち、沖縄県内からの調達は4,476.3万立方メートルと、当初の計画から大幅に増量されることが、沖縄県に提出されている「設計変更承認申請」に書き込まれています。これは、日本の「生物多様性国家戦略」が特定外来生物の地域間移動を禁止していること、沖縄県の「外来生物侵入防止条例」が2015年に施行されたことに由来します。
その沖縄県内からの調達増加分を担うのが、本島南部の糸満市と八重瀬町とされています。本島南部は、唯一の地上戦が行われた「沖縄戦」末期の激戦地であり、連合国軍と日本軍、そして民間人の尊い生命が多く失われた場所です。その地にある平和祈念公園内の「平和の礎」には、24万1,593名の亡くなられた方々の氏名が刻銘されています。その近くには、戦後まもなく住民の皆さんが収集した遺骨を納めて建立された「魂魄の塔」があり、沖縄戦での戦没者1608名を含む35693名の千葉県出身の戦没者を慰霊する「房総之塔」も、他県の慰霊塔と共に建立されています。1947年より始まった沖縄県民による遺骨収集は今も続いており、直近では、糸満市の壕から大人6人、子ども2人の遺骨が発見されています。本島南部は、これからも戦争の悲惨さと愚かさ、命の尊さとそれを踏みにじる政治の暴走への戒めを心に刻む、追悼と祈りの地であり続けるのです。
そうした遺骨がまだ残る場所からの土砂の採掘と、戦争のための日米共用の新基地への使用は、国籍や民族、出身地、軍民の違いを問わず、尊い犠牲者の霊と尊厳、遺族の皆さんの慰霊の思い、ボランティアで遺骨収集を続ける人々の心を著しく傷つけるものとして、断じて許せません。
2016年施行の「戦没者遺骨収集推進法」には「戦没者の遺族をはじめ今次の大戦を体験した国民の高齢化が進展している現状において、いまだ多くの戦没者の遺骨の収集が行われていないことに鑑み、戦没者の遺骨収集の推進に関し国の責務を明らかにする」(第1条)、「平成二十八年度から平成三十六年度までの間を、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を集中的に実施する期間とし、戦没者の遺骨収集を計画的かつ効果的に推進するよう必要な措置を講ずる」(第3条)と明記されています。本島南部の土砂を集中的に使用しようという、上記「設計変更承認申請」は、法の趣旨に完全に反するものです。
私たち市民ネットワーク千葉県は、日本国憲法の平和主義の理念に則り、そして、一貫して辺野古新基地建設に反対し、沖縄県民との連帯を求め続けてきた政治団体として、以下を強く要望します。
・戦没者の遺骨が残っていることが明らかな地域の土砂の採掘・利用を一切行わないこと。
・沖縄県民の「建設反対」の意思が繰り返し表明されている辺野古新基地建設を即刻中止し、計画そのものを白紙撤回すること。
2021年6月23日
市民ネットワーク千葉県
共同代表 伊藤とし子
小室美枝子