〈声明文〉海洋放出ありきの政府の姿勢に厳しく抗議するとともに、理解と合意なきALPS処理汚染水の海洋放出の中止を強く求める。

声明文〉海洋放出ありきの政府の姿勢に厳しく抗議するとともに、理解と合意なきALPS処理汚染水の海洋放出の中止を強く求める。

内閣総理大臣 岸田文雄様


 ALPS処理汚染水の海洋放出について、8月22日、政府は関係閣僚会議で、「関係者から一定の理解が得られた」として放出を正式決定し、24日午後1時、海洋放出が開始された。しかし、一番の「関係者」である全漁連及び福島県漁連は、いまだ一定の理解どころか、汚染水の海洋放出に反対する姿勢を崩していない。
 2015年、政府と東電は「関係者の理解なしには如何なる処分も行わない」と文書約束をしたが一方的に破棄。その後も、公開の場での公聴会などは一切開かず、「海洋放出ありき」で、関係者の意向を踏みにじってきた最後の帰結が、8月22日の汚染水海洋放出の正式決定だと言える。
 

 政府はALPS処理水は安全だと広言しているが、トリチウム、炭素14、ストロンチウム90、セシウム137など、各種放射性物質が処理水全体の67%に残留していることが、東電のデータで判明している。しかも、そのうちの5%が基準値の100倍から2万倍もの濃度に達しているのだ。
 さらに、汚染水はこれからも発生し続け、今後どれだけの量の放射性物質が海に放出されるか全く不明であり、海洋へどのように拡散するのか、沿岸に沿ってどのように流れていくのかも一切分かっていない。海水で薄めても、放射性物質の総量は増え続け、海洋環境に深刻な影響を及ぼす危険性が無いとは、誰も証明できない。 
 風評被害を防ぐと政府は公言しているが、以上のように、科学的見地からも不明な点があまりにも多く、消費者の不安を払拭することは到底不可能である。福島県をはじめ、海続きの茨城県、千葉県の漁業が大きな被害を被ることは否定できない。

 政府は汚染水の海洋放出の理由として、燃料デブリの保管場所として、汚染水保管タンクのスペースを明け渡す必要があるからだとしているが、880トンとされる燃料デブリの取り出しそのものが技術的に困難を極め、いまだ全く見通しが立っていない状態である。今後当分の間、タンクのスペースを明け渡す必要はありえない。その間を利用して、アメリカで実証済みの「モルタル固化処理」という陸上での永久処置を検討すべきであるのに、議論さえしていない。
 今やるべきことは、漁業関係者や福島県の地元住民など「関係者」を交えた早急の話し合いであり、海洋放出の代替案の検討である。
 また、増え続ける汚染水対策として、地下水が建屋内に入り込むことを防ぐ「止水対策」が今こそ急がれる。失敗続きの凍土壁の代替案として、鋼板やコンクリート壁などを埋め込む方法を、真剣に議論するべきである。

以上、やるべきことを行わず、関係者の意見も一切聞かず、海洋放出ありきの政府の姿勢に厳しく抗議するとともに、理解と合意なきALPS処理汚染水の海洋放出の中止を強く求める。

2023年8月25日

                     市民ネットワーク千葉県共同代表
                               川口 えみ
                               伊藤とし子
                               岩﨑 明子