〈声明文〉在沖縄米空軍兵による少女暴行事件に強く抗議します

在沖縄米空軍兵による少女暴行事件に強く抗議します

6月25日、在沖縄米空軍兵による少女暴行事件が、日米両政府によって隠され沖縄県に一切報告されていなかったことがメディアの報道により明らかになりました。

 市民ネットワーク千葉県は、少女の人間としての尊厳を深く傷つけた米兵による性暴力に怒りを込めて抗議します。同時に、米兵犯罪を意図的に隠蔽し、沖縄県民の人権と地方自治体の当然の権利を徹底的に軽視・蹂躙した日本政府の姿勢を強く弾劾するものです。

 本件の少女暴行事件は、昨年12月、沖縄本島で米空軍嘉手納基地所属の空軍兵長(25歳)が16歳未満の少女を車で自宅に連れ去り、本人の同意なく性的暴行を加えたものとされています。那覇地検は本年3月に同兵長をわいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で起訴したにもかかわらず、外務省と政府はこの事実を沖縄県に一切報告をしていませんでした。

 1995年の米海兵隊員3名による少女暴行事件が、全県民の怒りを引き起こしたことを受け、1997年、日米合同委員会において米軍による事件・事故について沖縄県と関係自治体への通報経路が合意されています。しかも「地域社会に対して正確にかつ直ちに提供することが重要」と明記されていました。また、何らかの事由により「通報しなくてもよい」などという例外規定は合意に存在していないことは、外務省日米地位協定室が認めるところです。にもかかわらず、林官房長官と上川外務大臣は「捜査当局がプライバシーへの影響等を考慮して非公表と判断」と説明しています。これはまさしく国家権力による恣意的運用に他なりません。

 事件の起きた昨年12月末には「辺野古新基地建設」に関わる違法な「代執行」、起訴された3月末に関しては,その直後に岸田首相の訪米と首脳会談と共同声明発表、さらにメディアによる公表の直前に6月16日投開票の沖縄県議会議員選挙があったことを考えると、何らかの政治的意図を感じないわけにはいきません。

 沖縄では、全国の70%にも及ぶ米軍基地・専有施設が集中しています。そのために米兵による犯罪・事故が繰り返されてきました。そのたびに、日本政府は原因究明と再発防止、綱紀粛正を求めてきましたが、米側はそれに対して表面的でおざなりな対応しか示さず、問題は何一つ改善されていません。2023年度の米兵と米軍属等による刑法犯検挙数が前年比18件増、過去20年間で最多の70件にのぼったことにもそれが明らかです。今回はそれに日本政府も加担していることが明らかになりました。本件後も米兵による性被害は続いています。もしきちんと公表されていたならば、何らかの対応とその効果が期待できたはずです。

 翻れば、1995年の少女暴行事件は、それに対する日米両政府による SACO 合意=「沖縄の負担軽減」の名目で、結果的に沖縄の米軍基地機能の強化、自衛隊基地の集中、そして日米同盟の強化なるものがなし崩しに進められたことを、私たちは忸怩たる思いと共に胸に刻みます。

私たちは、本件の少女暴行事件について米国に強く抗議するとともに、主権国としての矜持を忘れ、事件の隠ぺいに走った日本政府に猛省を促します。そして、二度とこのような事件が起きないよう、日米地位協定を抜本的に見直し、沖縄県民、とりわけ女性の人権と地方自治を断固として守ることを強く求めます。

2024年7月25日
市民ネットワーク千葉県
共同代表 川口えみ 小室美枝子