〔報告〕熊谷知事と市民ネットの意見交換(2024/10/21)
10月21日 市民ネットワーク千葉県会議室(およびオンライン)にて、熊谷知事との意見交換を行いました。
事前に提出した13項目の政策課題にお答えいただき、それに基づいた充実した意見交換ができました。
13項目の質問
1.幕張メッセ武器見本市
2025年に、県有施設である幕張メッセで、国際武器見本市「DSEIジャパン」が開催されようとしています。県は2024年3月県議会での議員質問に対して、「会場貸出しは防衛セキュリティ産業にかかる展示会であって、幕張メッセの設置目的『本県の産業の振興および文化の発展、国際化に資するため』に合致しているから問題はない。」と答弁しました。しかし、同時に展示品が武器であることを初めて認めました。地方自治法244条では、「公の施設は住民の福祉を増進する目的」であることが明記されています。武器を展示することが、「住民の福祉を増進する」に叶っているのか、また、いかにして「千葉県の産業の振興」に貢献することになるのか、見解をお願いします。
2.下総基地のPFAS問題
県と柏市、鎌ヶ谷市、白井市が連携し、下総基地周辺の水路や民家の井戸のPFAS測定が進み、次々と高濃度が検出されています。発生源は下総基地であることは極めて濃厚で、県も7月29日に基地に立ち入り調査を行いましたが、自衛隊から写真撮影や記録を拒否されたとのことで、内部の排水口と外部の水路がどうつながっているのかなど、調査結果は議員にも知らされておりません。ところが、9月27日に国会議員と地元市議や関係者が基地内視察を行った際、基地司令が、「基地内の排水口と外部の水路はつながっている」と説明したと言う情報が、10月3日に入ってきました。翌10月4日の環境常任委員会で、川口えみがこの点を県に質問したところ、県は「北東部にある排水口が外部水路とつながっていることは、説明された」と初めて認めたのです。今後は、基地内の水質・土壌調査や原因究明を速やかに進めるとともに、情報はできるだけ透明性を担保していただきたいと思いますが、ご見解をお願いします。
3.避難所対策
災害発生時における避難所として利用される既存体育館への空調設備の設置について、その多くが断熱性能が確保されておらず、冷暖房効率が悪いことが課題となっています。このことは国も認識しており、公立学校の中等教育前期までの改善工事への国庫補助を令和7年度まで行っています。一方、県立高校の体育館も避難所指定がされているところが多々ありますが、国の補助はありません。県としての対応をお聞かせください。
4.活断層調査
房総半島の活断層調査は、平成9年度の「東京湾北縁断層」、平成10年度から平成12年度にかけての「鴨川低地断層帯」の調査だけで、その後は実施していません。当時は不明だった活断層の動きについて、最新の科学的知見に基づいた調査を実施すべきと考えるがご見解を伺います。
5.海老川水系の治水について
船橋市の市街地を流れる海老川の流下能力は1時間30ミリしかなく、近年1時間100ミリという豪雨が頻発する中、早急に対策が必要です。海老川水系は令和3年に県の流域治水プロジェクトに指定されましたが、進展がみられません。海老川を一宮川のように特定都市河川に指定し、流域治水を進めるべきと考えますがいかがでしょうか? また、県が造る予定の海老川調節池は47年間も未着工のままで、令和16年までに行うという暫定掘削も予定容量のわずか6.4%にすぎません。あと何年かかるも含め、見解をうかがいます。
6.ハザードエリアへの災害拠点病院の移転について
海老川上流地区のメディカルタウン構想は、市立医療センター(災害拠点病院)を移転させる計画です。移転先は軟弱地盤の低湿地であり、船橋市のハザードマップでは、0.5~3.0mの浸水が想定され、「ちば地震災害想定ホームページ」では震度5強で液状化が起きるとされています。国は、能登半島地震の教訓から、災害拠点病院の指定要件に「立地」を入れることを検討中です。災害拠点病院である市立医療センターをこのような危険な場所に移すことについて、どのようにお考えでしょうか。
7.農業「千葉県ローカルフード条例」策定を
「改正食糧・農業・農村基本法」は、農業就業人口が20年間で116万人から30万人に減るという前提で、少人数に対応した高生産性農業を掲げていますが、農産物は極めて地域限定的な資源と考えます。そこで、「千葉県ローカルフード条例」を策定し、地産地消、中小家族経営生産者への支援などを進め、安全な食料の確保に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
8.子どもの権利の尊重
現在、千葉県子ども計画の策定が進んでいます。これに伴い実施されたこどもの意見反映のための小学校5年生から高校生対象の調査結果をみると、「こどもの権利」を、こどもだけでなく大人も知ることが重要と捉えていることがわかります。「大人」へのこどもの権利の尊重と認識の醸成に向けた取り組みはどのようなものを検討されているでしょうか。また、こどもが権利を知り、受けた被害について勇気を出して声をあげても、対応が不十分では意味がありません。実効性のある子どもの権利救済制度の整備についてのお考えをお聞かせください。
9.ケアマネジャーの更新制度
介護保険制度で、ケアマネジャーの5年ごとの更新制度が平成18年から始まり、更新を行う場合には法定研修等の受講が求められます。研修の受講料は千葉県の場合、28,000円から66,000円と高額です。東京都は研修受講料の補助制度を実施。浦安市も同様の制度を設けています。ケアマネジャーの不足が懸念される現状から、千葉県として更新制度の負担軽減策をお考えいただきたいと思います。また募集人員の制限枠に関しても柔軟な対応が求められていますが、ご見解を伺います。
10.高校の「居場所カフェ」
県内の県立高校で実施されている「居場所カフェ」は、生徒たちが気軽に立ち寄り、友達とお喋りしたり、ゲームを楽しんだり、ときには悩み事の相談もできるスペースです。現在13校で実施されていますが、多様な生徒の受け皿となり、教職員にも好評です。しかし、県の予算措置は2年間のモデル事業のあと、今年は暫定措置、そして来年度からは決まっていません。私たちは関宿高校、佐倉南高校、生浜高校を見学しましたが、どの高校も存続を望んでいました。居場所カフェへの継続的な予算措置と、県内全ての高校への設置が必要と考えますが、ご見解を伺います。
11.夜間中学の充実に向けて
県内には公立夜間中学が3市に設置されていますが、その周辺自治体から通学している生徒も多くいます。現在、運営費は設置自治体の負担になっていますが、教育機会確保法に規定されている協議会を設置して、千葉県と設置自治体、周辺自治体が協議し、負担の在り方等を決めていく必要があります。しかし、県庁には夜間中学を扱う部署がありません。夜間中学の広報や、学びの環境の充実のための協議ができるためにも、担当部署を決めていただきたいと考えますが、ご見解を伺います。
12.HPVワクチン接種
HPVワクチンは百万回あたりの副反応報告は301件、うち重篤は177件です。その他のワクチンと比べても報告数で8.3倍、重篤例で7.4倍です。現在、薬害集団訴訟(原告117人)が全国4地裁で係争中です。接種勧奨再開後も新規患者数は308人に上っています。8月26日県教委に白井市の被害者のビデオメッセージを届けました。健康で聡明だった少女が、接種後10年間、車いす生活で酸素吸入をしながら、親の介助の元、生活しています。被害の実態調査と今後の被害者救済についてどうお考えか、お尋ねします。
13.都市公園の官民連携による整備について
千葉市では熊谷市長の時代から、民間活力導入による公園整備が始まりました。その一つの稲毛海浜公園では、市民ネットワークみはまが20年以上前に提案していた「車椅子でも海辺を散策できる桟橋」も整備されるなど、設備更新、公園の活性化が進んでいます。一方で、地域住民やこれまで利用していた市民の声が届きにくくなり、事業者の方針と市民の希望が異なってしまう問題も発生しています。県立都市公園でも事業者による整備が始まっていますが、その中で市民の声をどのように公園づくりに活かしていくか、お考えをお聞かせください。