〈抗議声明〉防衛産業強化法案の採決強行に抗議し白紙撤回を求めます
防衛産業強化法案の採決強行に抗議し白紙撤回を求めます
6月7日、参院本会議において「防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案」(以下「防衛産業強化法案」)が、共産党とれいわ新選組のみの反対で可決・成立しました。私たち市民ネットワーク千葉県は、昨年末の「安保3文書」の改定とそれに続く大軍拡予算に一貫して反対してきた立場から、防衛産業=軍需産業を私たちの税金を使って保護・優遇し、さらには殺傷力を持つ武器の輸出をも可能とする道筋をつけることで、平和憲法の理念を徹底的に破壊する本法案の成立に強く抗議し、速やかな白紙撤回を求めます。
そもそも、本法案は、上掲の「安保3文書」の改定を具体化する大軍拡予算の内容に関わるものです。しかしながら、すでに成立執行がされている防衛予算の財源は曖昧なままです。今回のように大幅な増額をするならば、予算案と同時に財源確保関連法案を提出し、並行して審議すべきであるにもかかわらず、「防衛財源確保法」は常会閉会日が迫る中、未だ成立の道筋が見えません。にもかかわらず、その「財源確保法」とセットである本法案のみが先行して成立させられたことは、いかにこの大軍拡予算が杜撰に構想され、それを糊塗するために強引な国会運営がなされているのかを示して余りあります。
本法案の内容は、①軍需産業に「生産基盤強化」のための資金を提供する②武器輸出を行う企業に財政支援をする③日本政策金融公庫による貸付促進を行う④それでも事業継続が困難な企業は国有化し、他企業に委託する,以上を柱としています。財源は全て私たちの税金です。
これにより事実上軍需産業の「国営化」が可能になります。さらに、「武器輸出3原則」を閣議決定より緩和して「防衛装備移転3原則」に変更した後も、一向に実績が上がらない武器輸出を、400億円の税金を投入して促進することになります。さらに、同「3原則」の決定的な緩和が「指針」の改定により統一地方選後に画策されており、なしくずしに殺傷能力のある兵器の輸出へと舵を切ろうとする意図が見えています。G7後突然決まりすぐさま実行されたウクライナへの「ライフルホルダー付き車両100台規模提供」はそのための先鞭となるでしょう。
さらに、「装備品等機密」という曖昧な指定を行い、軍需産業の従業員に対し「守秘義務」を課し違反の場合は刑事罰を科すことも定められます。「秘密保護法」の企業版ともいえるものです。
今回の「強化法」そしていずれ成立するであろう「財源確保法」により、私たちの市民生活、企業活動も「軍事優先国家」に組み込まれ奉仕させられ、監視され管理される事態になりかねません。歴代政権によって破壊され続けて来た平和憲法の理念は、ここに至って息の根を止められると言っても過言ではない状態です。
私たち市民ネットワーク千葉県は、法案成立後も「地域から平和をつくる」活動をやめることはありません。「武力では平和はつくれない」「軍事がそんなに大事なのか?」の声も挙げ続けます。
衆参ともにわずか5時間程度の審議で可決成立させられた「防衛産業強化法案」の即時撤回と「防衛予算財源確保法案」の審議中止、軍事優先の安全保障政策の抜本的見直しを強く求めます。
2023年6月13日
市民ネットワーク千葉県
共同代表 川口えみ 伊藤とし子 岩﨑明子