〈声明文〉能登半島地震で明らかになった危険な原発推進政策の即時中止を求めます
能登半島地震で明らかになった危険な原発推進政策の即時中止を求めます
2024年1月1日、能登半島地震が発生しました。失われた命に深い哀悼の思いを捧げます。現地では、ライフライン、交通の復旧が見通せない中、余震が続いています。過酷な冬の天候のもと、被災者の皆様の健康が守られるとともに、一日も早く穏やかな日常が戻ってくることをお祈り申し上げます。
今回の震災が明らかにしたのは、多発する群発地震への対策を放置し、地方を切り捨ててきた国の政策のひどさです。とりわけ地方に原子力発電所を押し付け、福島第一原発の大事故への反省もなく、老朽原発の再稼働と超長期の運転を強行していることの恐ろしさです。地震による道路の寸断と家屋の倒壊、津波による被害と積雪による交通の遮断に加え、もしここに原発の過酷事故が発生していたら、避難も出来ない住民の生命は絶対的な危機にさらされてしまいます。
今回の地震では震度7を記録し、最大地震動は志賀町で2828ガルに達しました。しかし、北陸電力志賀原発の耐震基準は1号機が600ガル、2号機が1000ガルで、辛うじて持ちこたえたというのが実情です。また、能登半島沿岸部の北部から南にかけて85キロに及ぶ高さ2~4メートルの海岸隆起が起き、志賀原発のわずか9キロ手前で止まったという事実に慄然とします。
北陸電力の発表によれば、使用済み核燃料冷却用の外部電源用変圧器2台の大量の油漏れも含む壊滅的な故障、燃料プールの水漏れ、津波による敷地内の水位上昇と敷地内の段差の発生、放射線モニタリングポストの一部測定不能など重大なトラブルが起きており、もし稼働中であったなら、福島原発事故並みの大惨事になった可能性を否定できません。
志賀原発だけではなく、複雑な配管の塊である原発が、「地震大国」に多数建設されていること自体が異常事態なのです。さらに、国の原子力災害対策指針に基づいて、机上で避難計画を策定してあっても、大地震と原発事故の「複合災害」では、計画通りには避難も屋内退避も実行できないことが今回明確になりました。
にもかかわらず、昨年来関西電力を中心に老朽原発の再稼働と60年超の長期運転へと舵を切った岸田政権の原子力政策が見直される兆しはありません。政府は、昨年のCOP28で、「2050年までに全世界の原発の発電容量を3倍にする」という米政府の宣言に賛同したことを直ちに撤回し、原発推進の姿勢を改めるべきです。
今回の能登半島地震で大きな被害を被った珠洲市には、1975年、珠洲原発の建設計画があり、28年間の住民の粘り強い反対運動で、2003年に計画を撤退させた歴史があります。もし珠洲原発が出来ていれば、今回の大地震で能登半島はおろか、関東まで含む広範囲の地域が汚染される過酷事故が起きていました。
この住民運動の結実は、脱原発を願う国民にとって、大きな勇気を与えてくれます。
これまで一貫して脱原発を政策の一つの柱として活動を続けてきた私たち市民ネットワーク千葉県は、これを機に、現在稼働中の全原発の即時停止、再稼働申請と新設原発計画の白紙撤回、国のエネルギー基本計画を再生可能エネルギー中心へと抜本的に改めることを、強く求めるものです。
2024年2月19日
市民ネットワーク千葉県
共同代表 川口えみ 小室美枝子