〈緊急声明〉新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案提出に抗議する声明

市民ネットワーク千葉県は、特措法改正案提出に反対し、抗議声明を発表します。
特措法改正案提出に抗議する声明

新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案提出に抗議する声明

 

本日3月11日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に、「新型コロナウイルス感染症」を追加する改正案は衆院内閣委員会で、与党と立憲民主党などの賛成多数で可決されました。13日に成立、14日に施行との意向と報道されています。

現内閣の新型コロナウイルス対策は、「後手後手」と「場当たり」に終始しています。2月25日に「新型コロナウイルス感染症対策基本方針」を発表した翌日に、その内容と矛盾する「全国一斉休校」が首相の独断で「要請」され、学校現場での混乱は今も続いています。大型イベント等の「自粛」も要請され、これまた現場での混乱は拡大の一途であり、深刻な経済問題へと発展しつつあります。

そして、それに続いて「緊急事態宣言」を強調した本改正案が突然提案されました。
多くの識者が指摘するように、現行の「特措法」でも新型コロナウイルス感染症には「緊急事態宣言」も含め対処可能なはずです。「緊急性」を強調するなら、現行法に則って財政措置を含む有効な対策を早急に行うのが筋と考えます。
しかし、それを行わずに強引に法改正をし、「緊急性」を口実に「緊急事態宣言」を行いたい、という意図が窺えます。

私たちが今回の法改正と緊急事態宣言に大きな危惧を抱くのは、すでに1月末に自民党内で、今回の新型肺炎を「改憲」に結びつける発言が相次いだからです。特に伊吹文明元衆院議長は「新型肺炎は緊急事態の一つの例。憲法改正の大きな実験台と考えた方がいい」とまで発言しました。
安倍首相が固執する自民党改憲案では「緊急事態条項」は大きな柱です。
現行「特措法」施行令は、「緊急事態条項」発令の3要件について、詳細な基準は設けていません。いくらでも恣意的な判断での発令の危険性があります。これまでの政府の対応の延長線上で、私権制限が伴う「緊急事態宣言」が安易に発令されることは断じて認められません。

「緊急事態」には、事前の明確な規定、事後には厳格な審査と責任の追及が不可欠です。しかし野党が求めている、発令前の国会承認、適時の国会報告に政府側は否定的です。こうした人権を狭める恐れの多い拙速な法改正に私たち市民ネットワーク千葉県は断固として反対します。そして、2月1日施行の政令に則り、感染症法と検疫法に基づいた、有効で迅速な対応の徹底を強く求めます。

2020年3月11日
市民ネットワーク千葉県共同代表 伊藤とし子 小室美枝子