〈要請書〉「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」に対する要請

 「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」に対する要請

 

政府は1 月7 日、千葉県を含む1 都3 県に対し、新型コロナウイルス感染拡大を受けた「緊急事態宣言」を発令しました。1 月8 日より2 月7 日までの発効となっています。その後、対象府県は11 都府県まで拡大、今後も追加があり得る状勢となっています。

今回の2 回目の「宣言」は、昨年4 月発令のそれと異なり、自粛対象はほぼ飲食店に絞られています。それも、本来の法的根拠である「新型インフルエンザ等対策特別措置法」第24 条に基づき、知事による時短の「協力依頼」にとどまるべきところを、政令改正により同特措法45 条に基づく「要請」「指示」とし、従わなかった店舗名の公表も可能にするというかなり強引なものとなっています。

そもそも、これまでの「経済活動維持と感染拡大防止の両立」から「感染拡大防止最優先」へと方針転換したはずであるのに、なぜ飲食店のみが対象なのか、なぜ期間が1 カ月なのか、幅広い休業要請や学校等の一斉休校を求めた前回の宣言発出時とどのように状況が異なっているのか、効果の科学的根拠など、十分な説明はなされていません。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長ですら、「1 カ月未満での状況改善は至難の業」「飲食店だけでは感染の沈静化はできない」と述べるなど、専門家からは、今回の「宣言」の効果を疑問視する声が挙がっています。

政府は、今回の新型コロナウイルス感染拡大に対し、明確な「症例定義」を定めることもなく、検査・診断のメカニズムが十全に機能しないまま放置してきました。また、今回の感染拡大の特徴である、「無症状者による感染拡大」についての対策も後手後手に回っています。その上、感染症対策の基本である、患者発生状況のモニタリングすら実はまともに行っていません。一見感染が終息に向かっているかのように思われた夏期が過ぎたところで、急激に陽性者・重症者が増加し続けている原因は、こうした感染症対策の原則を守らないまま、「Go To キャンペーン」の実施を始めとする「経済を回す」施策を強行したことにほかなりません。

しかも、その「経済を回す」ことは、大企業と一部の業者を利するだけに過ぎず、貧富の差はさらに拡大しています。休業・閉店した店舗や倒産した中小企業が増え続けています。そのため職も住居も失った人たちを支援するボランティア活動は全国に拡がっています。私たち市民ネットワーク千葉県も「反貧困ささえあい千葉」に協力していますが、事態の深刻さに直面しています。今回の「宣言」1 カ月により1 都3 県だけでも8 ~ 9 万人の失業者が出るとの予測もあります。自殺者の増加も止まらず、今こそ「公助」が必要なのです。

私たち市民ネットワーク千葉県は、政府に対し、国としての責任をもって新型コロナウイルス感染拡大の終息に向け、自治体と連繋して万全な対応を行うよう強く求めます。

  • この1 年間の政府の新型コロナ対策の迷走を反省し、「感染拡大防止最優先」の原則に則り、検査・治療体制の
    抜本的な整備と拡充を早急に実施してください。
  • 全国のボランティア活動と連繋してコロナ禍による生活困窮者の実情を精確に把握し、命と暮らしを守る総合的
    な支援策を実施してください。
  • 雇用を守るため、持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成金特例措置を打ち切らず、継続・拡充してください。さらに、今回の「宣言」による一律6 万円/ 日とされている営業自粛保障の上積みと、営業実態に基づいた対象業種の拡大を求めます。
  • 通常国会で審議される「特措法」改正においては、むやみに「罰則」に頼るのではなく、あくまでも協力業者に
    対する「十分な保障」を前提に議論してください。

    2021 年1 月18 日

市民ネットワーク千葉県 共同代表 伊藤とし子 小室美枝子