〈声明文〉第一空挺団の習志野演習場での降下訓練の中止を求め、日米軍事一体化と違法な使途の防衛予算に抗議する

 3月11日午前11時頃、陸上自衛隊習志野駐屯地所属の第一空挺団(堺一夫団長)のパラシュート降下訓練中に、隊員1名が降下目標をはずれ、八千代市の県道歩道上に誤降下しました。幸い通行人、本人のけが等はなかったとのことですが、まかり間違えば大惨事を引き起こしかねない事態でした。

 第一空挺団は、自衛隊唯一のパラシュート部隊として、習志野演習場での頻繁なパラシュート降下訓練を実施しています。しかし、習志野演習場は、日本で一番狭隘な降下訓練場であり、しかも、習志野市、八千代市、船橋市の人口密集地に位置し、交通量のきわめて多い国道296号にも隣接するというきわめて特異な演習場です。

 誤降下も度々発生しています。ここ数年でも、3名の隊員が八千代市の民家に誤降下し、テレビアンテナ等を破損、また直近では隣接する高校グランドへの誤降下も起きました。住宅密集地であり、また児童や高齢者のための施設も多い地域を、大型ヘリ、ジェット輸送機、プロペラ輸送機が低空で飛び交うため、住民は騒音被害に苦しめられ、墜落の危険性と常に向き合う日々を送っています。私たち市民ネットワーク千葉県は、こうした問題を抱えた習志野演習場でのパラシュート降下訓練をやめるよう、毎年の県への予算要望・政策提言で訴えてきました。

 さらに、この日が東日本大震災と東電福島原発事故から10年目にあたり、全国で慰霊の黙祷が捧げられようという、その直前に訓練が行われていたことは看過できません。私たちは、もとより第一空挺団が陸自の他の部隊と共に震災直後の救援活動に積極的に従事したことを蔑ろにするものではありません。しかし、今回の訓練は、第一空挺団及び陸自の「災害救援活動」を余りにも露骨にアピールし演出するものであったことは否めません。

 大震災での救援活動で、自衛隊への「好感度」は大きく向上したとのことです。しかし、その裏で、自衛隊は着々と「日米軍事一体化」への方向を強化してきました。米軍と一体となった「軍隊としての自衛隊」の最前線に位置しているが第一空挺団なのです。昨年9月、米軍横田基地の輸送機1機を使用した降下訓練が、突然習志野演習場で行われ、市民ネットワーク千葉県は、抗議の申し入れ行動を行っています。そして今回の訓練の2日前には、その同じ横田基地所属の米軍輸送機を12機も使用し、380名の隊員が参加した大規模な日米共同訓練が東富士演習場で行われていました。3月11日の訓練は現在の第一空挺団と自衛隊のあり方を隠蔽するものです。

 そして、11日の訓練に、使うことの稀なC-2輸送機が使用されていることも、あまりに露骨な演出です。わざわざ鳥取県美保基地より飛来してきた C-2輸送機は、2011年度の「震災復興特別会計」で2機が購入され、また2020年度補正予算でも「災害対処」を理由に同じく2機が購入されている機種ですが、不整地運用ができないため「災害救援」になど使えません。「災害救援」訓練への使用は、財政法29条に公然と違反して多額の税金を注入した高額輸送機の使途を粉飾するものと考えます。

 私たち市民ネットワーク千葉県は、多くの自衛隊基地を抱える千葉県の地域政党として、「地域から平和を」「日米軍事一体化反対」を一貫して主張してきました。習志野基地での降下訓練の恒久的中止と、自衛隊の米軍との一体化を根本から見直すこと、防衛予算を聖域化することなく、適正な運用を行うよう、国に対し強く求めます。

2021年3月22日