〈声明文〉水戸地裁の「東海第二原発運転差し止め訴訟」判決を支持し、原発再稼働の全面的中止と原発に依存しないエネルギー政策を求める

 3月18日、水戸地裁での「東海第二原発運転差し止め訴訟」判決で、前田英子裁判長は「運転差し止め」を命じました。

 日本原電東海第二原発は、人口の多い首都圏にある唯一の原発であるだけでなく、1978年に運転を開始した「老朽原発」であること、また東日本大震災の「被災原発」で唯一再稼働を予定している原発であることなど、不安要素を多く抱えています。隣接県である千葉県の地域政党である私たち市民ネットワーク千葉県は、同原発に過酷事故が発生すれば、千葉県と千葉県民に甚大な被害が予想されるため、議会への意見書案提出など、これまで繰り返し「再稼働中止」を訴えてきました。

 今回の判決は、これまでの同種の裁判と異なり、初めて「防災体制は極めて不十分で安全性に欠ける」ことを主たる事由としたもので、福島第一原発大事故以後義務づけられた「半径30キロ」内の14自治体の避難計画策定の進捗が遅れており、また94万人に及ぶ住民の短時間での避難は困難であることが指摘されました。「避難ができないということだけで原発を止めた最初の歴史的判決」(河合弘之 弁護団 共同代表)です。

 10年前の福島原発事故では、千葉県にも放射能プルームが襲来し、県内各地にホットスポットを現出させました。仮に東海第二原発が重大な事故を起こした場合、現実に首都圏の多くの住民の避難が必要となることも予測されます。「94万人」でも「困難」であるならば、千葉県を含めた首都圏の膨大な人口の短時間での避難など「不可能」です。

 日本原電のみならず、原発を保有するすべての電力会社は、今回の判決を重く受け止め、老朽原発のみならずすべての原発の再稼働を放棄し、再生可能エネルギーを主とした、安全でクリーンな持続可能なエネルギーへの転換を進めるべきです。日本原電には、19日の東京高裁への控訴を即刻取り下げるよう求めます。

 そして国においては、現政権が打ち出した「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」を、原発に依存せずに実現する方向を明確に示すエネルギー政策を立案し着実に実行することを求めるものです。

2021年3月22日