伊藤とし子6月県議会質問

実際は一括質疑(まとめて質問し、まとめて答弁する)ですが、答弁を、分かりやすいように各質問のあとに付けています。

1.新型コロナウイルス感染症対策として1)社会的検査等今後の方針についてです。

 広島県では「検査をしないと無症状・無自覚のまま、自分の大切な人に感染させる」と繰り返し広報しながら、PCR検査によるモニタリングや、積極的疫学調査等社会的検査を拡充してきました。飲食店の営業時間短縮による経済損失をできるだけ抑え、県民の行動抑制を軽減するためでもありました。
 これまでホットスポット5か所、薬局320店舗、飲食店などで検査キットが配布され、いわゆる社会的検査を行ってきました。感染抑制は医療費削減の早道であり、予防の10億円は治療の100億円に匹敵する、との事です。
 千葉県での5月31日現在のクラスター発生状況は、多い順に高齢者・障害者施設117件、医療機関52件、教育・乳幼児施設52件、企業45件、そして最後に飲食店が40件です。
① そこで2点伺います。
千葉県ではまず接待を伴う飲食店から検査を行うとの事であるが、その理由は何か。

答弁(知事) 接待を伴う飲食店は、不特定多数の方が利用 し、酒類が提供されることに加え、これまでに クラスターが多数発生していることなどから、 感染リスクが高いと考えられます。このため、県では、接待を伴う飲食店の従業 員に対して、市と連携して、定期的にPCR検 査を行うことで、無症状の感染者を早期に 発見し、感染拡大の未然防止を図っておりま す。

 高齢者施設はクラスターを防ぐという意味で特化して検査が出来ることになったが、通所・訪問介護事業所等について検査の状況はどうか。

答弁(健康福祉部長) 県では、高齢者の入所施設については、感染した場合に 重症化するリスクが高い高齢者が生活する場であり、感染 拡大リスクが高いことから、本年3月から定期的な検査を 実施しております。 また、通所系事業所についても、集団での介護サービス を提供する場であって、人と人との接触機会も多いことか ら、国の基本的対処方針の変更も踏まえまして、6月から 検査対象に加えたところです。

 ワクチン接種で先行する英国で、1日の新規感染者が4カ月ぶりに1万人を超える事態になっています。感染力が強いデルタ株の増加が原因とみられ、ロックダウンの解除も延期しました。接種率が高いのに感染者数が増加している国はほかにもあり、「ワクチンへの過信」を警告する声も出ています。やはりPCR検査などの社会的検査の拡充も並行して進めないと、感染拡大は防げないと考えます。
③ そこで伺います。
PCR検査などの社会的検査の拡充を検討すべきと考えるがどうか。

答弁(保健医療担当部長) 県では、高齢者施設等の従事者に対する集中 的検査や、接待を伴う飲食店の従業員などの 検査のほか、国と連携し、感染拡大の予兆を 探知するためのモニタリング検査を県内 29か所で行ってきました。また、自ら検査を行った高齢者等に対し補助 を行った市町村に助成するほか、今後は、 感染者の早期発見のため医療機関や高齢者 施設等へ抗原簡易キット約16万回分を配付 することとしています。

再質問
 訪問介護事業所職員も高齢者と日々接する点では高齢者施設と同じであり、検査の拡充が必要と考えるがどうか。
 また、「国の基本的対処方針」をもとに接待を伴う飲食店を重点的に対応していく、との事ですが、配布資料をご覧ください(※末尾に掲載)。
どこで感染したかの接触歴について県内の直近データの円グラフを載せています。家庭内が46%、施設と病院で17%、学校が3.5%、接待飲食店は1.8%に過ぎません。
そこで伺います。
飲食店だけでなく家庭内感染にも着目していかなければならないと考えるがどうか。

答弁(保健医療担当部長) まずは、家庭内にウイルスを持ち込まないよ う、感染リスクの高い場所に行かないことや、 帰宅した際の手洗いなどの感染防止対策を 徹底することを県民の皆様方にお願いしてい るところです。
また、感染された方に対しては、同居家族に 感染が拡大しないよう、食事や寝るときも含 め、家族とはなるべく別の部屋で過ごすなど、 接触を極力控えるようお願いしているところです。

次に2.飲食店への時間短縮営業協力金についてです。

 新型コロナ感染拡大防止のため、昨年12月から始まった飲食店の時間短縮営業ですが、いつ終わるとも知れないコロナ自粛に、飲食店ばかりかそこで働くアルバイト、従業員、取引先業者など関係する業界全体に大きな影響を及ぼしています。
 県は第1弾~第8弾まで合計17億円もの高額な契約で、事業者に協力金の支給事務作業を委託しています。
 4月の臨時県議会では、飲食店経営者から寄せられた協力金の支給遅れ問題、不親切なコールセンターの対応を取り上げ、改善を求めました。
そこで伺います。
4月の臨時県議会の議案質疑で指摘した協力金の支給遅延などの事項についての改善点と現状の課題はどうか。

答弁(商工労働部長)  協力金の支給については、委託先の審査人員を大幅に増員するとともに、申請誤りを減らすために、申請様式への注意書きを加筆する等の工夫を行うなど、迅速な支給に 努めるほか、オンラインで申請した方に 対して、支給日を事前に通知するなど、情報提供の充実にも取り組んでまいりました。 今後、第7弾以降は、制度がより複雑化し、 審査項目も増加するため、申請状況等に応じ、 さらなる体制強化も必要と考えています。

 協力店舗の名前と住所を公表するという事で、現在第1弾の対象である9千件にも上る店舗名が県のHP上で公開されていますが、細かい字でびっしりと並び、何のために手間暇かけてアップするのか分かりません。
そこで伺います。
今後すべての協力店舗名の公表を予定しているとの事だが、協力店舗名の公表に時間を割くのではなく、協力金の早期の支給に全力を注ぐべきではないか。

答弁(商工労働部長) 今後は、複雑化した制度や、重点措置を 講じるべき区域の変更などにしっかり対応 しながら、引き続き協力金の早期支給に全力 で取り組んでまいります。 2 また、協力事業者については、支給が完了 した後に公表してまいります。

 6月補正予算では、山梨県モデルをさらに厳しい基準にした千葉県飲食店感染防止対策認証事業を、県内43市に拡大するための予算36億3000万円が計上されました。
 熊谷知事は、4月6日の感染症対策本部会議後の記者団との質疑応答で、認証制度について「今後も協力金の支給を続けるのは財源上難しい。メリハリのある対策として、認証を受けた飲食店を時間短縮要請の対象外とするなど、緩和を検討する」と説明しました。第7弾までの協力金支給総額が1,144億9,500万円にものぼることを考えれば、知事の発言は納得できます。また、時間短縮営業が解除された店は協力金に頼ることなく自助努力で売り上げを伸ばすことができ、利用客はゆっくりと飲食を楽しめるという、三方得となる方策です。
そこで伺います。
緊急事態宣言あるいは蔓延防止等重点措置発令下における「時間短縮営業解除あるいは緩和措置」の法的位置づけはどうなるのか。

答弁(知事) 営業時間の短縮要請は、新型インフルエン ザ等対策特別措置法を根拠とし、同法に基づ き定められた基本的対処方針では、まん延防止等重点措置下においては、現状では、感染リスクが高いとされている業態の事業者全体に対して、一律で行うものとされています。 今後、一定の要件を満たした店舗等におい て例外的に営業時間の緩和措置が取られる場合にあっても、基本的対処方針の中で 定められるものと考えます。

次に3.霞ヶ浦導水事業として 1)第6次フルプランについてです。

 第5次フルプランが目標年度の2015年で切れ、新たな第6次フルプランは4年間も検討されませんでした。その理由として、当時の需要の推計方法では、戦後最大級の渇水となっても、霞ヶ浦導水と思川開発という新規水源がなくても水は足りるという結論に達っせざるを得なかったことが考えられます。
 しかし、2019年に新たなフルプラン策定のための利根川・荒川部会が突如再開され、新規水源が必要となるような、二つの新たな考え方が導入されました。
 一つ目は、目標年度2030年度における供給可能水量に、10年に一度の渇水時と、既往最大級の渇水時の二つのケースを想定したこと。二つ目は、需要の見通しとして、人口や経済成長率などを考慮した「高い位置」の「高位」と「低い位置」の「低位」の二つのケースを想定したことです。
 利根川・荒川部会は2年間に7回という異例の頻度で開催され、最大級の渇水が起きた場合、6都県全体の水道用水において、「低位」の場合は現在の水源で足りるが、「高位」の場合は、霞ヶ浦導水と思川開発という新規水源がなければ水が不足すると結論付け、今年5月28日第6次フルプランが発表されました。しかし、「高位」の場合の人口予測も水需要の見通しも過大であり、「低位」の推計のほうが現実に近いと考えられます。わざわざ「高位」を設定したのは、新規水源が必要であるとの結論に導くためではないか、と指摘する専門家もいます。

 新たなフルプランにおける2030年度の千葉県の上水道の一日最大給水量は、高位推計で213万4千㎥。しかし、千葉県の上水道の一日最大給水量の実績は、近年10年間平均で200万㎥を少し超える程度です。
そこで伺います。
新たなフルプランにおいて、千葉県の上水道における一日最大給水量の「高位」の推計値を、近年の10年間の平均より、約10万㎥も余分に見積もることについて、県の見解を伺う。

答弁(総合企画部長) フルプランでは、国立社会保障・人口問題研究所や経済財政諮問会議で示された人口や 経済成長率の推計値などを用いて算定しており、これらの変動幅を考慮し、水需要の高位値と低位値を示すという方法は国土審議会水資源開発分科会で了承されております。
こうしたことから、本県としては、フルプランにおける推計は合理性があるものと認識をしております。

 国交省が新たな水資源開発が必要だとする根拠は、既往最大級の渇水の発生ですが、利根川水系では1973年、霞ヶ浦では1958年に発生した渇水を示しています。これは48年前と63年前のことであり、このような古いデータを出してきた裏には、新たな水資源開発ありきの強引さを感じます。ちなみにこの20年間では最大で10%の取水制限というのが4回発生しただけです。
現代では気象観測技術も発達し、積雪量や融雪状況の観測により渇水が発生する可能性を早期に把握し、対応が可能です。
そこで伺います。
新たな水資源開発がなくとも、ダム貯水量の温存や節水などのソフト対策で対応できると考えるが、県の見解はどうか。

答弁(総合企画部長) フルプランでは、過去最大級の渇水が発生した場合において、現在実施中の水資源開発事業への参画状況を踏まえた供給可能量と、節水等のソフト対策を講じた上での需要量を比較しており、本県では、供給可能量が需要の高位値を若干下回っております。
 このため、県としては、霞ヶ浦導水事業など 現在実施中の水資源開発事業は、水の安定的な供給のために、必要であると認識をしております。

【再質問】
利水に関しても、新規水源開発 というハード対策ではなく、適切な予測に基 づ いた運用や節水というソフト面での対策が、「最小の経費で最大の効果を上げる」と いう地方自治法の本旨に則った最善の対策と考えるがどうか。

答弁(総合企画部長) フルプランでは、供給可能量が需要の高位値を若干下回る結果となっていることから、県としては、現在実施中の水資源開発事業は、水の安定的 な供給のためには、必要であると認識をして おります。

次に2)工業用水についてです。

 昨年12月の霞ヶ浦導水事業の計画変更で、千葉県工業用水の最大取水量は毎秒0.4㎥から毎秒0.2㎥と50%減となりました。負担額は9億8000万円増額されましたが、この金額は、変更前の毎秒0.4㎥に見合った金額に増額比を乗じたものです。
そこで伺います。
霞ケ浦導水事業の計画変更において、千葉県工業用水では変更後の最大取水量毎秒0.2㎥ではなく、変更前の毎秒0.4㎥に相当する負担額の増額になぜ了承したのか。

答弁(企業局長) 利水者の負担額は、河川法等により、事業から撤退等があった場合、原則として、撤退後 の最大取水量を基に算出されますが、これによることが著しく公平を欠くと認められるときは、別に国が算出した額とすることができ ます。国は、原則に基づいて各利水者の負担額を算出した場合、縮小・撤退者以外の利水者に過度な追加負担が生じることから、別に算出した負担額を提示しました。
こうした経緯を踏まえ、また、企業局の負担額も妥当と判断し、国から示された負担額を了解したものです。

【再質問】
 6月佐倉市議会での質疑で印旛広域水道は、計画変更で30%取水量を減らしましたが、増額負担額は変更後の少ない取水量に基づいた金額であることが判明しました。また、撤退組に関しては、埼玉県は増額後の負担額、九十九里企業団は増額前の負担額と、それぞれ算定根拠がバラバラです。
そこで伺います。
このように国の負担額算定は著しく公平性に欠けると思うが、県はこのまま看過するのか。

答弁(企業局長)  増額分の負担に関して、他の利水者の詳細は承知しておりませんが、本県工業用水については、これまでの参画取水量に対する暫定取水量 の割合を考慮したと、国からは聞いております。

要望 
 負担額の増額算定根拠が全くずさんであり、多く払わされている自治体、少なく済んだ自治体とバラバラである。 根拠も内訳も聞かずに国の言い値を支払うなど、県民の理解は得られない。 霞ヶ浦導水事業は、4割しか整備されていないのに、事業費の8割を既に使っており、今後も増額されるのは目に見えている。 今回のてつを踏まないよう、 国に対してしっかりと積算根拠を 求めるよう、要望する。

 東葛・葛南地区では、契約水量の半分しか水は使われていません。料金制度について、今年3月、契約企業にアンケート調査を行いましたが、現行通りで良いとする答えが7割強を占める一方、「二部料金制」及び「契約水量の見直し」を検討すべきと言う回答が3割近くありました。「責任水量制では節水努力が報われない」という真っ当な意見もありました。産業構造審議会でも、「契約水量と実給水量が乖離している中、実給水量に応じた料金制度への移行を可能な限り検討する。」とされています。
そこで伺います。
受水企業へのアンケート調査結果や産業構造審議会での報告結果を踏まえ、責任水量制から実給水量を反映した料金制度に移行すべきではないのか。

答弁(企業局長) 工業用水道事業では、契約水量を前提に水源確保や施設整備を行い、これを料金で回収する責任水量制を採用しておりますが、一部の企業から、料金制度の見直しを求める意見があることは承知しています。 しかしながら、実給水量を反映した料金制度に見直した場合、料金単価の引上げが必要となり、一部の企業において、現行制度と比べて負担増が生じるなどの課題があります。 
今後も受水企業と相互理解を図りながら、 料金制度の検討を進めてまいります。

要望
 企業114社を契約水量によりグループ分けし、契約水量に対してどれだけ実際に水を使っているか調べたところ、ほとんどが契約水量の半分ほどしか使っていない。 使用実態に照らして見直すよう要望する。

東葛・葛南地区では、2020年度に契約廃止が2件あり、今後、工業用水事業への新規参入は厳しいものと予測されます。また、霞ヶ浦導水事業への負担金、完成後の維持補修費などに加え、東葛・葛南地区では、浄水場の設備更新や水道管の耐震対策などに54億1600万円かかる予定です。更に一昨年の台風被害により、停電・浸水対策費が新たに加えられ、2027度までの事業費は、工業用水全体で37億円にのぼります。土地造成事業からの毎年30億円の出資金もあと3年で切れます。
そこで伺います。
赤字に陥らないためにも、霞ヶ浦導水事業から撤退し、未売水を減らすことに尽力するべきではないか。

答弁(企業局長) 工業用水道事業では、受水企業に対して契約水量を確実に供給するための水源を確保する必要があります。既に確保している利根川河口堰や北千葉導水路及び三郷放水路の水源だけでは契約水量を満たせないことから、引き続き、霞ヶ浦導水事業への参画が必要となります。今後とも、より一層のコスト縮減に努めながら、浄給水場や管路の更新・耐震化などを 計画的に進めてまいります。

次に4.農業問題として1)改正種苗法の問題点についてです。

改正種苗法が本年4月1日から施行され、来年4月以降、登録品種の自家増殖には、育成者権者の許諾が必要となります。長野県は本年4月登録品種の利用制限に関わる方針として、一部品種を除き、県内生産者は今まで通り許諾不要で自家増殖が可能、と打ち出しています。
そこで伺います。
種苗法改正に伴う自家増殖等の許諾に対する県の方針はどうか。

答弁(農林水産部長) 今回の種苗法改正により、これまで生産者に認められていた自家増殖について、育成者からの許諾が必要となったことから、県では、 県育成品種の自家増殖の取扱について、検討を進めているところです。
 具体的には、農業生産に影響が出ないよう、 生産者が行う自家増殖を原則として認め、 許諾手続についても、できる限り生産者の負担が増えないものとする方針であり、今後、 速やかに決定してまいります。

【再質問】
許諾料について検討中との事ですが、県の登録品種の作付けが多い大豆や小麦、力を入れている落花生などへの影響は大きいはずです。来年度の作付け計画を考えれば、時間的余裕はありません。長野県のように早急に方針を決定すべきです。
そこで伺います。
生産者に極力負担をかけないものを検討するとのことだが、いつ頃結論を出す予定か。

答弁(農林水産部長) 自家増殖に関する法律改正は、令和4年4月1日施行となっているため、国や他県の状況も確認しつつ、遅くとも年内を目途に定め、 速やかに周知してまいります。

 昨年9月議会質問で県は、「地域が取り組む在来種を活用した産地活性化について、市町村や関係機関と協力しながらしっかりと支援していく」と答弁しています。しかし、在来種を承継してきた農家の減少により、在来種の種子そのものが消滅していっており、待ったなしの状況です。
そこで伺います。
在来種を活用した産地活性化について、具体的にどのような取り組みを行っているのか。また、在来種の現状調査について、どう考えているのか。

答弁(農林水産部長) 県では、在来種を活用した地域の取組に対し、優良な系統の選抜や、種苗の生産などを 支援してきたところです。今後も、地域が行う在来種を活用する取組に対し、支援を行ってまいります。
また、在来種の調査については、これまでに 市町村等の協力により、枝豆やサツマイモなどの21品目 、32品種を確認しておりますが、今後も必要に応じて調査を実施 してまいります。

 急速に失われていく在来種の保全は喫緊の課題です。広島県農業ジーンバンクは1989年に県知事と広島大学のよびかけで設立されました。農業改良普及員のOBの方たちが地域の農家を回り、稲8000種、麦3000種、豆1600種など19000種にもわたる品種を収集しています。
 これら在来種の種子は広島県の農家に無料で貸し出され、広島の気候風土の中で更新・保存されて、より優れた遺伝子を残してきています。地域在来の特産物として受け継がれ、まちおこしにも貢献してきました。
そこで伺います。 
在来種の保全として、生産者が種子を自由に使える広島県のようなジーンバンクが千葉県にも必要と考えるがどうか。

答弁(農林水産部長) 県では、新品種の開発に取り組んでいる 落花生などの9品目について、将来、遺伝資源として、育種への活用が期待できることから、在来種を含め特徴のある品種の保存を行っているところです。
また、国の遺伝資源センターは、種を安全で確実に保存できる国内最大のジーンバンクであり、千葉県由来の507品種が保存されています。県では、在来種の保存を希望する地域に対して、同センターへの登録手続等を支援してまいります。

多用な遺伝資源を守り、次世代に継承するための取り組みとして、ブラジルのクリオーロ種子条例があり、韓国でも自治体が在来種を守っています。
そこで伺います。
千葉県として、在来種を積極的に保全し、地域の農業に活用するために、「在来種を保全活用するための条例」を策定してはどうか。

答弁(農林水産部長) 種苗の保全に関しては、千葉県主要農作物等種子条例を制定し、稲、麦、大豆、落花生の安定生産を図るため、県が元となる種子を確保し、優良な種子の供給を行っているところです。
在来種の保全活用については、条例の定めはありませんが、在来種など地域特産品目を対象に地域が主体的に行うブランド化を支援することとしており、引き続き取組を進めてまいります。

【再質問】
在来種の保全に関してです。
ヒアリングの過程で、千葉県には在来種保全に一括して対応する窓口がない事が判明しました。第3次有機農業推進計画を進めるためにも、まずは千葉県の農業政策の中に「地域の在来種の保全・活用」をきちんと位置付けるべきと考えるがどうか。

答弁(農林水産部長) 県では、千葉県農林水産業振興計画において、在来種など地域特産品目を対象に地域が主体的に行うブランド化を支援することと定めておりますので、この方針に基づき、引き続き取組を進めてまいります。

次に2)学校給食のオーガニック化についてです。

 現在、子どもの発達障害やアレルギー、アトピーが増えていますが、農薬のグリホサートやネオニコチノイド系農薬との因果関係が疑われています。2019年、全国の給食用パンを調べたところ、大半のサンプルから微量のグリホサートが検出されました。子どもたちの命と健康を守るためにも、学校給食のオーガニック化が求められています。県内では、いすみ市、木更津市、南房総市が有機米による学校給食を実施しています。さらに最近では市原市も加わりました。
 学校給食のオーガニック化は、子どもたちの健康に寄与するだけでなく、生産者にとっては有機農産物の安定した仕入先が確保され、付加価値が付くことから所得も安定します。また、保護者にとってはオーガニックの学校給食は非常に魅力的であり、いすみ市や木更津市は移住先として人気となっています。
そこで伺います。
第3次千葉県有機農業推進計画では、「学校給食への有機農産物の供給への支援」を打ち出しているが、学校給食への有機農産物の導入に向けて、県としてどのように取り組んでいくのか。

答弁(農林水産部長) 学校給食に有機農産物を活用するためには、その安定供給が必要となることから、県では、農産物の収量向上に向けた栽培技術や機械導入などの支援、活用できる国の事業の紹介を行っています。
 また、有機農産物など地域の農産物の学校給食への導入が、食材の提供だけでなく、生産者との交流や食育活動の場ともなるよう、先進事例を紹介するなど、関係者と連携しながら支援してまいります。

2点目として、
県教育委員会は、学校給食の食材として有機農産物を扱うことについて、どう考えているのか。

答弁(教育長) 学校給食の食材の選定は、学校の設置者である自治体が食材の供給体制や価格等を総合的に判断し、決定しております。
県教育委員会では、地場の有機農産物などを利用した学校給食の献立について、ホームページに掲載し、広く情報提供を図っているところであり、今後とも、学校給食における安全な地場産物の活用を推進してまいります。

次に5.学校における講師の未配置問題についてです。

 教員不足が深刻化しています。教師が病欠、産休、介護等の理由で欠員となると、代わりに講師が配置されます。臨時的任用講師がクラス担任を任されているのは18,715学級数中411人、内小学校は312人にも上ります。
 しかし、登録されている臨時的任用講師が不足しているため、本年5月では、講師未配置が134人、その内小学校は123人に上りました。年度末では200人以上が未配置となると思われます。
 小学校の場合、担任の穴埋めに管理職を含め複数の教師が入れ代わり立ち代わり学級に入るので、「子どもが落ち着かなくなる。」「教科によっては自習となる」などの問題が報告されています。
 臨時的任用講師が不足する理由の一つに、給与の低さがあります。配布資料の一番下の図をご覧ください。本年7月時点での関東近県における臨時的任用講師の給与年額を調査したところ、高い順に、東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城でした。千葉県の優秀な人材が東京や神奈川、埼玉に流れていくという話をよく聞きます。
そこで伺います。
千葉県の臨時的任用講師の給料月額や期末手当について、東京都、神奈川県、埼玉県並みに引き上げるべきと考えるがいかがか。

答弁(教育長) 本県における臨時的任用講師の給与については、地方公務員法に定められた給与決定原則に基づき、人事委員会勧告に則った給料表や手当制度が適用されています。
臨時的任用講師も含め、職員の給与については、人事委員会勧告に則り、改定していくことが基本であると考えています。

 文科省は35人学級を令和7年度までの5年間で小学校全学年に整備するとしています。今年の児童数で35人学級に換算すると、千葉県では今よりも267クラス増えることになります。
 近隣の都県では教員不足を正規教員を増やして対応していますが、千葉県は給与の低い臨時的任用講師での対応が際立っており、教育予算が全国でも低いレベルである状況と関連しています。
そこで伺います。
未来を担う子どもたちのために、教育予算を拡充させ、正規教員を増やすという抜本的見直しが急がれるが、県としてどう考えるか。

答弁(教育長) 全国的に教員採用選考の志願者が減少してきており、人材の確保が難しい状況になっておりますが、今年度、県内の小中学校では前年度に比べ25人増の1,084人の新規採用者を確保したところです。
県教育委員会では、正規教員の果たす役割は大きいと認識しており、今後とも、次年度の学級数や教員の退職者数の増減などを勘案し、必要な正規教員の採用に努めてまいります。

要望
35人学級に向けて、教員不足はますます深刻化することは目に見えています。
計画的な教員増員に向け、教員の正規化と臨時的任用講師の処遇改善を早急に実現することを要望します。

次に6.太陽光発電設備の設置の規制についてです。

 平成31年4月に県が林地開発許可した鴨川市池田地区のメガソーラー事業は事業面積 約250ha 東京ドーム52個分。発電出力約10万KWで太陽光パネル 約47万枚という全国で最大規模のものです。この事業者には当初から資金力に問題があり、林地開発許可の期限である今年4月30日を過ぎても、いまだ着工していません。更に、許可申請時の工事施工者がこの事業から離脱し、計画のずさんさが浮き彫りになりました。とん挫した事業者は今年8月31日までの休止届を県に出していましたが、6月に入り突然予定地に資器材を搬入して地質調査を始めました。地元鴨川市では「再開届も出さないうちに着工した。協定違反だ」と反発していますが、県の森林課は「着工と取るかどうかは微妙だ」との曖昧な態度です。また、一度出された林地開発許可は、本体工事が止まろうがとん挫しようが、そのまま生き続けます。現地ではこのメガソーラー建設に対し地元住民の反対運動が起きており、6月26日の東京新聞でずさんな開発計画として大きく取り上げられました。
 今、全国各地で、同様の問題が多発し、多くの自治体で再生可能エネルギー発電施設立地規制条例が続々と施行され、本年4月時点で都道府県3条例、市町村146条例を数えます。
 山梨県では太陽光発電設備の設置規制を大幅に強化する条例案を6月議会に上程するとの事です。
 出力10KW以上の事業用施設において、災害リスクが高い森林伐採を伴う開発や急傾斜地への設置は原則禁止とし、事業者に周辺住民への説明や市町村長の意見の尊重を義務付けし、事業者が県の措置命令に従わない場合は設置許可を取り消したり、国に通知する条項が盛り込まれています。
 再生可能エネルギー特別措置法改正により条例等他の法令に違反した場合、FIT認定を取り消すことができる、と定められたことが、条例の実効性を高めています。また、既存の施設に対しても維持管理計画の届出を求める、という内容です。
そこで伺います。
千葉県においても、太陽光発電設備の設置の規制を検討すべきと考えるがどうか。

答弁(環境生活部長) 国では、太陽光発電設備の設置について、ガイドラインを策定し、事業者に対し、防災、環境保全、景観保全の観点に配慮するとともに、地域住民との関係構築などを図るよう指導しています。
また、県は、本年4月から、林地開発許可の審査基準に、太陽光発電施設の設置に係る項目を追加するとともに、一定規模以上の施設を 環境影響評価の対象にしています。今後も、法令等に基づき、事業者に対し、適正な土地利用や環境保全措置の実施を指導してまいります。

【再質問】
ガイドラインでは限界があるため山梨県ではより厳しい条例化に切り替えました。鴨川市のメガソーラー事業の二の舞を避けるためにも、千葉県として条例化を急ぐべきではないのか。

答弁(環境生活部長) 県から国に対し、地盤の安全性を確保する具体的な方法を技術基準に明記することや、国がガイドラインに基づき、責任をもって事業者を指導することなど、より実効性のある制度となるように、働きかけているところです。引き続き、 国の動きや他県の条例化の動向について注視してまいります。

【要望】
事業者が、休止中なのに資器材を搬入して地質調査を始めたことに対し、県は「工事に着工したと言えるか、微妙だ」との判断で静観しています。しかし、無断で看板を立てるなど違法行為は明らかです。今、国は、長期にわたって稼働していないメガソーラーの扱いに関し、認定失効とすることを検討しています。これを踏まえて、当該事業者に対し「廃止」や「中止」など厳しく指導することを要望します。

最後に7.「かにた婦人の村」施設建て替え問題についてです。

 館山市にある施設「かにた婦人の村」は、売春の強要やDVなどで尊厳を奪われた女性たちが心や体の傷を癒す「長期入所型」の婦人保護施設として、全国から重い課題を抱える女性を無償で受け入れています。1965年、千葉県に設置の届出を行って開設され、現在は全国から49人の入所者が、回復への支援を受けながら暮らしています。
 すでに築50年以上の老朽化施設のため、建て替えの話が6年前から始まっていますが、遅々として進んでいません。一昨年の台風では屋根が吹き飛んだりと被害は甚大でしたが、何とか自力で修繕をしました。
 しかし、建物群のある場所は、2015年6月に千葉県が土砂災害警戒区域に指定した場所で、更に危険な土砂災害特別警戒区域も含まれています。
 建替えは県申請に基づく国の交付金事業が利用でき、国1/2、県と法人が1/4ずつと国からは告げられていますが、いまだに調整がついていません。「かにた婦人の村」では建物設計図まで準備して建て替えを切望しています。入所者をこれ以上危険な場所に住み続けさせることは、土砂災害特別警戒区域に指定した千葉県としては看過できないことではないでしょうか。
そこで伺います。
①「かにた婦人の村」の運営法人を所管する東京都に早急に対応を求めるべきと考えるがどうか。

答弁(健康福祉部長) 「かにた婦人の村」は、昭和40年に国が定めた「かにた婦人の村」を唯一の対象とする運営要領により設置された婦人保護長期入所施設であり、 同年に売春防止法等に基づいて東京都所管の社会福祉法人が千葉県へ開設を届け出たものです。
施設からの建替えの要望等については、国及び法人を所管する東京都に、随時伝えているところです。

【要望】
千葉県が指定した土砂災害警戒区域に住み、建物の設計図まで準備しながら待たされている当事者たちの気持ちを考えたら、これ以上の放置は許されません。人命がかかっています。まずは4者協議の場が持てるよう、力を尽くしていただくことを要望します。

最後に霞ケ浦導水事業について、知事に申し上げます。

 熊谷知事は千葉市長時代から水道事業改革には力を入れ、2011年、千葉市として霞ヶ浦導水事業から撤退しています。当時の熊谷市長は「市長のブログ」にこう書いておられます。    「甘い見通しによって必要のない水源確保に税金を投入してしまったこと、撤退の判断が遅れたことは反省しなければならない。多くの自治体は未だに人口が増え続けていた時代に意思決定したものを見直せずにいる。行政は見直しを避ける傾向があるが、少しでも早い決断が傷口をこれ以上広げないために必要だ」
 まさに素晴らしい決断でした。知事になられた今、再び未来を見据えた賢明なる判断で、霞ヶ浦導水事業から撤退する決断をなさることを要望いたしまして、私の一般質問を終わります。

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