〈抗議声明〉改悪入管法可決成立に強く抗議し、施行を中止し、国際人権法と人権基準に則った真の法改正を求めます。

改悪入管法可決成立に強く抗議し、施行を中止し、国際人権法と人権基準に則った真の法改正を求めます。

6月9日、参院本会議で改正入管法案が可決成立しました。今回の法案は、2021年に一度上程され、余りの内容のひどさに廃案となっていたものを、僅かな手直しのみで政府が再提出したものです。しかも、審議の過程で次々と入管の問題が浮上したにもかかわらず、強行採決という手段で成立を図った政府と、十分な議論を経ることなく可決させた議員たちに対し、強く抗議します。

 今回の改悪案において最大の問題は、これまで難民認定の申請中は送還が認められなかったものが、3回目以降の申請者については「相当な理由」を示さなければ、本国への強制送還が可能になったことです。日本も1981年に批准した「難民条約」では、「迫害の恐れのある難民を本国に送還してはならない」とされています。しかし、日本においては「迫害の恐れ」が極めて狭く解釈され、しかも個々人が具体的にそれを証明しなければならないため、他国に比して余りに低い0.67%という難民認定率(2021年度)です。今回の改悪によって、自国に送還されれば命の危険すらある難民申請者の強制送還が可能とされたことは、多くの在留外国人の人権を大幅に侵害するものです。

 他にも、「監理人制度」による収容をはずれた外国人に対する監視と管理の強化、強制送還拒否に対する支援者も含めた罰則規定など、この改悪は入管に今以上に強大な裁量権を与えることによって、難民の生命と人としての尊厳を危険にさらし、さらなる人権侵害を結果させることは明白です。

 本改悪案については、4月18日、国連人権理事会特別手続きの専門家らが共同書簡を発出し、国際人権基準の観点から様々な懸念が示されました。また、全国から22万筆を超える廃案を求める署名も提出され、連日国会前を始め広範な市民が手を結んだ抗議行動が展開されました。政府はそれらを一切無視し、審議の過程で明らかとなったこれまで隠蔽されてきた入管行政の根本的な問題点についての議論も避け続け、強行に可決成立させました。

 私たち市民ネットワーク千葉県は、民主主義と人権を守り、真の共生社会を実現する運動を続けて来た立場から、現行法においても、就労をはじめあらゆる領域で抑圧され続けて来た在留外国人の人権擁護のため、政令で定めるとされている本改悪法の施行の停止と、国際人権基準に厳正に則った真の法改正を強く求めます。
2023年7月14日

市民ネットワーク千葉県          
共同代表 川口えみ 伊藤とし子 岩﨑明子