〔報告〕熊谷知事と市民ネットの意見交換

10月17日 市民ネットワーク千葉県会議室(およびオンライン)にて、熊谷知事との意見交換を行いました。
事前に提出した13項目の政策課題にお答えいただき、それに基づいた充実した意見交換ができました。

13項目の質問

1.「(仮称)千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」案について

条例制定にあたり、パブリックコメントをどのように反映しますか? また今後、条例をさらに充実させるために、見直しや、タウンミーティングなどを開いて多様な県民の声を聴く予定はありますか? さらに、「男女共同参画推進条例」として個別に策定することを望む県民が少なくありませんが、お考えはどうですか?

2.少数会派への平等な対応について

今年の2月県議会で、知事は自民党の質問に答える形で「多様性尊重条例」の制定に言及し、5月11日の定例記者会見で「県議会とも意見交換をしながら、千葉県らしい条例を制定したい」と抱負を語りました。それ以降、残念ながら、市民ネットワークなど少数会派とは一度も意見交換をする機会がなく、9月1日、骨子案策定を報じる新聞報道で初めて私たちはそのことを知った次第です。また、ここに至るまで、県と自民党会派が何度も協議を重ねたとも報じられました。最大会派の自民党と調整を進めなければ県政が動かないことは承知しておりますが、せめて、マスコミ発表より前に、全議員への説明があるべきだったと考えます。また、このような重要な条例案については、今後、事前に全議員対象の勉強会などを開催し、意見交換をしてはどうでしょうか。県民から付託を受け当選した議員への平等な対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。

3.自衛隊基地のPFASについて

2019年に環境省が行った「PFOS及びPFOA全国存在状況把握調査」で、県内では白井市の金山(おとし)用水路の名内(なうち)橋で、349.2ng/Lという算定指針値50ng/Lをはるかに超える数値が出ました。水質保全課に問い合わせたところ「原因不明」とのことでしたが、その後、2007年に千葉県環境研究センターが金山(おとし)用水路の詳細な調査を行った文献を入手し、既に16年前には金山落周辺で高い数値が検出されていることが分かりました。今年8月10日に、金山落用水路を最下流の名内橋から上流まで遡って現地調査したところ、上流部には「海上自衛隊下総航空基地」があり、その周辺では700~1100ng/Lという際立って高い数値が検出されています。

また、下総基地には2年前まで、5140㍑のPFOS含有泡消火剤が保有されていたことも資料で分かっています。

下総基地では泡消火剤をどのように使用していたのか、排水処理はどうなっているのかなど、金山落用水路の汚染との関連を調べるために、千葉県は調査すべきではないでしょうか?

4.新湾岸道路について

 知事は「新湾岸道路整備促進期成同盟会」の会長に就任され、新湾岸道路の早期実現を目指していらっしゃいますが、三番瀬の保全にはどのように取り組まれるのでしょうか? また、新湾岸道路の具体的なルートや構造の検討は、計画段階評価の手続きで進められるということですが、その際、地域住民や環境団体などとの意見交換をはじめ、広く県民を対象としたタウンミーティングを開く予定はありますか?

5.第8次千葉県保健医療計画について

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により浮き彫りとなった地域医療の様々な課題を、第8次千葉県保健医療計画にどのように反映していくのか。また、令和6年度から始まる医師の時間外労働の上限規制に対し、どのように対応していくのか。

6.夜間中学の協議会設置について

教育機会確保法の中で夜間中学設立のために協議会を設置することが規定されています。千葉市立真砂中学校かがやき分校として夜間中学が設立されました。かがやき分校は38名でスタートしましたが、市外からの通学者もいます。今後、市外からの入学者が増えていった場合、千葉市の予算だけで実施することに困難さがあります。通学者の居住自治体に応分の負担をいただくことも考えなくてはなりません。北海道では札幌市の夜間中学開設に向けて協議会が周辺11自治体と設置され、そうした問題に対応しています。千葉県には市川市、松戸市、千葉市に公立夜間中学があり、協議会の必要性は高まっていると考えます。県が動かないと協議会の設置は困難ですが、見解をうかがいます。

7.中学校の部活動について

千葉県市原市の市立中学校で9月、2年生の男子生徒が所属する陸上部の練習中に熱中症で倒れ、その後死亡するという痛ましい事故がありました。「熱中症ガイドライン」の厳守を周知するとともに、部活動での行き過ぎた指導を改めるよう、どのように周知しますか。また、千葉県中学校総合体育大会や新人大会の開催は、暑い季節を避ける日程設定が必要と考えますが、いかがでしょうか?

8.有機農業の推進と学校給食について

千葉県では、学校給食のオーガニック化はいすみ市、木更津市のあと、成田市で計画されているようですが、オーガニックヴィレッジ宣言はしたもののオーガニック給食は遅々として進まない佐倉市をはじめ、なかなか広がりが見えません。全国では、石川県が農薬や化学肥料を50%以上減らした特別栽培米の給食を、5日間、県内全域で実施予定です。また、群馬県では、農政部の全職員が有機JAS講習を受け、有機農業の普及指導に活かす取組みを進めています。千葉県でも、有機農業の推進と学校給食のオーガニック化に向けて、独自の取り組みを考えていますか。

9.介護現場の改善について

高齢化が進む一方で、経営の厳しさから撤退する介護事業所が増えています。2022年の「老人福祉・介護事業」倒産は143件(前年比76.5%増)で、介護保険制度が始まった2000年以降最多を記録しました。今年は更に記録を更新すると言われています。また、介護従事者についても相変わらずの低賃金で、なり手不足が進み、このままでは千葉県でも「介護難民」が増える見通しです。このような厳しい介護現場の改善に向けて、何か対策は考えていますか。

10.地域活動支援センターについて

地域活動支援センターを利用する障害者について、特にメンタルの症状のある人は常に不安定な状態にあるため、通所できないことも多くあります。そのため、電話やメール、ZOOMでの相談や参加になるケースが多く、センター側も対応にかなりの時間を費やしています。新型コロナウイルス2類の時と同様、リモート参加の利用者も、利用実績としてカウントしていただきたいが、見解は?

11.大型物流倉庫建設ラッシュに係る国道・県道の課題について

野田市内では、許認可の降りた大型物流倉庫が4件、計画中が10件あります。法律上は問題ないとされ認可は降りるのですが、迂回するトラックの車両が住宅街にも侵入し、事故も発生しています。道路の幅員拡張、信号機の設置、右折レーンを増やす等の対策は、直ぐに実現できるものではありません。どのような見解か伺います。

12.県所有の未利用地・施設跡地について

県が所有する未利用地・施設跡地について、処分・活用を迅速に進めることはできないのでしょうか。何年も野ざらしになっており、周辺住民から苦情が出ているケースもあります。せめて現時点での検討状況を住民に知らせるなど、情報開示に努めていただきたいと考えますがいかがでしょうか

13.県有施設について

幕張豊砂駅近くに機動隊施設、免許センターなどの大きな県有施設があります。一方、千葉市では幕張新都心地区にオフィスビルを誘致するための補助金制度を設けています。今後、駅周辺の開発が進められる際には、県有施設の移転も可能性があるのでしょうか。