〈抗議声明〉改正「マイナンバー法」の成立強行に強く抗議します
改正「マイナンバー法」の成立強行に強く抗議します。
6月2日、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「改正マイナンバー法」)が参議院本会議で可決・成立しました。私たち市民ネットワーク千葉県は、個人の尊厳を最大限尊重し、「共通番号制度」そして「マイナンバー制度」「マイナンバーカードの強制」に一貫して反対してきた立場から、今回の改正案の成立に強く抗議します。
今回の法改正は、「マイナンバー」の利用促進を図るとして、「国家資格に関する事務」「行政手続きにおける個人識別に関する事務」「公金受け取り口座へのひも付け」さらに「健康保険証を廃止して「マイナ保険証」の義務化」など、過剰なまでの利用分野と事務の拡大を盛り込んだ、計13本の「束ね法案」として上程されました。これでは衆参ともに十全な審議が行われたとは思えません。第二次安倍政権以来常態化しているあからさまな国会軽視、主権者の意思の無視に強く抗議します。 「マイナンバー」は悉皆性と唯一無二性を持ち原則生涯不変の強力な個人識別番号です。徒に利用と事務分野を拡大すれば、広範な個人情報がデジタル庁を中心とした国家の管理下に置かれ、夙に指摘されてきたように大資本と結びついた「監視国家」「監視資本主義」への方向を固めることになりかねません。
また、マイナンバーカードの誤交付や紛失に伴うトラブルが本県でも複数明らかになっています。「マイナ保険証」のトラブルに至っては、実に一年間で7300件余あったことが国会審議で厚労省が認めた数字です。本年3月のマイナンバー制度に関する最高裁判決においても、こうした危険性が指摘されました。これは氷山の一角に過ぎないと考えられます。
にもかかわらず、「利便性」「効率性」の名の下に、杜撰な審議の末に本法案の採決が強行されました。私たち市民ネットワーク千葉県は、日本国憲法で保障されているプライバシー権の保障、自己情報のコントロール権の保障及び国民皆保険制の健全な維持の原則に則り、重ねて今回の法改正の強行に抗議し、以下の要求を掲げます。
・「番号法」第3条、第9条、第19条に規定されていたように、その利用分野を社会保障制度、保障税制及び災害対策の3分野に限定して導入されたはずの「マイナンバー制」の原則に反する今回の法改正を即刻撤回すること。
・本法改正に先んじて施行された「マイナ保険証」義務化を撤回し、これまでの保険証発行を維持すること。
・強引なマイナンバーカードの普及・利用促進策を、本来の「任意取得」の原則に反しないよう速やかに是正すること。
2023年6月6日
市民ネットワーク千葉県
共同代表 川口えみ 伊藤とし子 岩﨑明子