〈抗議声明〉国内最古の老朽原発関西電力高浜1号機の再稼動に抗議し、即刻の運転停止を求めます
国内最古の老朽原発関西電力高浜1号機の再稼動に抗議し、即刻の運転停止を求めます
関西電力は、本日7月28日に同社の原子力発電所高浜原発1号機の再稼動を強行しました。私たち市民ネットワーク千葉県は、一貫して原発依存からの脱皮を目指して活動してきた立場から、今回の関西電力の再稼動強行は、原発依存社会への方向を再び強めるものとして、強く抗議します。
高浜1号機は、本年で運転開始より49年となる国内最古の老朽原発です。機器や配管、配線、建屋などすべてにおいて経年劣化が懸念されますが、とりわけ原子炉圧力容器の中性子線による「脆化」が重大な不安材料です。高浜1号機はその「中性子脆化」が最も進んでいることが知られています。緊急時の注水・急冷により圧力容器そのものが破壊される最悪の事態すら予測される中での再稼動など言語道断です。
一方、当初関西電力が発表していた再稼動期日から延期になった理由が、原子力規制委員会からのケーブルの火災防護対策の不備の指摘でした。それに対し関電が行ったのはケーブルを耐火シートで覆うという場当たり的な応急措置に過ぎません。また、火災報知機の設置個所が計画と違うことも複数個所で判明、これも延期の原因でした。規制基準にすら適合していない状態での再稼動など許されるものではありません。関電のこうしたいい加減な対応を容認した規制委員会の姿勢は、もはや「規制」ではなく「推進」にほかなりません。
さらに、関西電力は 2021 年 2 月に、今年末までに使用済み核燃料2000t規模の中間貯蔵施設の計画地点が確定しなければ、その後確定できるまでの間、老朽原発 3 基(美浜 3 号、高浜 1・2 号)の運転は止める、と福井県知事に約束しました。ところが、関電は6月に200tの使用済み核燃料を2020年代後半にフランスに搬出する方針を伝え、「中間貯蔵と同等の意義がある」「知事との約束はひとまず果たされた」として高浜1・2号機の再稼動の準備に一方的に入りました。電事連の会長ですら「中間貯蔵とは無関係」と明言したフランスへのわずかばかりの搬出でことを済まそうとする関電とそれを追認した国の言動は、原発の地元住民と自治体を愚弄するものであり、その責任は重大です。
関西電力、規制委員会そして国は、福島第一原発大事故から12年、法律を強引に改悪してでも老朽原発を運転させ、さらに60年超え運転を実現させようとしています。原発依存社会再現を私たちに押し付けるものです。
世界で原子力産業はとうに斜陽産業となっています。安全面、コスト面において再生可能エネルギーよりもはるかに劣り、喫緊の課題である「脱炭素社会」の実現には全く寄与しないことも明らかになっています。
同じく老朽原発であり被災原発でもある東海第二原発を隣県に抱える千葉県民として、私たち市民ネットワーク千葉県は、今回の高浜1号機の再稼動を許容することはできません。同原発の即刻の運転停止と廃炉、老朽原発の再稼動方針の撤回を関西電力と国に強く求めます。
2023年7月21日
市民ネットワーク千葉県
共同代表 川口えみ 伊藤とし子 岩﨑明子