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■■  \\ 県政情報 2019.12.22 //             ■■
■        県議 伊藤とし子のメールマガジン  No.10     ■
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┃  県議会の決算討論から県の問題をあぶりだしました。
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12月20日県議会閉会となりました。補正予算のほとんどは災害復興予算
でした。

また、昨年度(平成30年度)の決算審査が閉会中の10月・11月に飛び飛び
に6日間行われました。私は一人会派なので、もちろん決算審査委員には
なれないので、全て傍聴しました。皆勤賞は私一人ですが、議員が勉強し
ていないので、酷い質問ばかり。県議会って楽ですね。
自民党、公明党はもちろん立憲民主党、千葉民主党も賛成ですので、別に
突っ込まなくてもいいのです。その中で共産党の加藤議員の質問は事前に
資料を提出させて、問題を掘り起こしたもので、勉強になりました。

閉会日には決算に反対する討論をしました。討論は共産党と市民ネットワ
ーク伊藤とし子のみ。反対理由で現在の千葉県の問題点を指摘しました。

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: 児童相談所問題について。
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1月に発生した野田市の小4虐待死問題は、11月検証報告書が出ました。
子どもの立場に寄り添うという基本を守れず、救えたはずの命を失った
と公表され、教育委員会、児童相談所の責任が問われています。しかし、
柏児童相談所が全国でも類を見ないほどの過密な状況にあり、職員が忙
しさで疲弊していることも指摘されています。

一時保護所の過密状況は柏児相だけでなく、中央児相、市川児相も同様
で長年放置されてきました。野田市の事件がきっかけで、見直しが少し
ずつ行われていますが、全く不十分です。また職員の計画的な補充をし
てこなかったため、経験の浅い職員が多く、問題が山積しています。実
際に新任研修では行政職研修のみで、福祉職向けの研修は皆無。入職早
々に夜間勤務を命じられ、子どもたちの状況説明もなし、職員にしわ寄
せがきて、早期退職やうつ病発症等が起きているとの声が、現場からは
寄せられています。これら福祉政策の遅れが、5年前(2014年)の市原
市乳児虐待死事件の反省が活かされないまま、野田市の事件につながっ
たと考えざるをえません。
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:  特別支援学校の問題について。
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柏特別支援学校の過密状況は長年懸案になってきました。令和4年に流山
高校第2キャンパスができるので、改善されるようにも聞きました。しか
し、1教室を分けて2学級が使用している実態が、長年放置されています。
11月に現地視察で聞き取りをした結果、小学校16教室に24学級、中学校
8教室に13学級、高校9教室に17学級という実態です。学習障害の児童生
徒は聴覚鋭敏な子が多く、一教室に二学級が押し込められた状況は、劣悪
としか言いようがありません。つくばエクスプレス沿線の柏市、流山市に
は今後小学校4校、中学校1校の新設が予定されており、これ以上の放置は
許されません。
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: 教員未配置問題について。
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教職員組合から出された要望には「県内での未配置数が平成30年度は前年
度比1.5倍~2倍と大きく上回り、100件を超える異常な事態が常態化してい
る。小中学校の未配置は全体の9割以上を占め、本年4月10日時点での未配
置も100件を超えている」とありました。毎年4月の入学式に担任が決まら
ない学校があることから改善を求めてきましたが、事態はますます深刻で
す。教育現場は混乱し、しわ寄せは子どもたちに来ています。抜本的な見
直しは急務です。
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:   八ッ場ダム建設事業について。
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市民ネットワークでは長年、八ッ場ダム建設事業に対し、治水・利水の両
面で不要不急の事業であると指摘し、反対してきました。ここにきて、台
風19号のさいに八ッ場ダムが完成したおかげで、利根川の氾濫が避けられ
たという声があがっています。

八ッ場ダムの総貯水量は1億750万㎥です。台風19号では八ッ場ダムが一挙
に満水になったわけですから、1億トンもの雨を受け入れたことになります。

しかし、八ッ場ダムは9月末に完成し、10月に徐々に試験湛水を始めたばか
りで、ほぼ空っぽ状態でした。通常では、八ッ場ダムの総貯水量1億750万㎥
の内、飲み水用が2,500万㎥、底に溜まる堆砂が1,750万㎥占めています。洪
水調節としての空きスペースは6,500万㎥しかありません。今回のように1億
トンもの雨が降れば、4,000万トンもの水が溢れ、ダムが決壊しないように緊
急放流しなければならないことになります。一気に水を放流する緊急放流は
危険極まりなく、昨年の西日本豪雨では、愛媛県の肱川で緊急放流した結果、
下流域で氾濫が起き、8人もの犠牲者が出ました。今回、八ッ場ダムはたま
たま空っぽだったので、緊急放流を免れました。運が良かったとしか言えま
せん。

また、今議会で「台風19号における八ッ場ダムの効果はどうか」という質問
があり、それに対し「八ッ場ダムを含む利根川上流ダム群は、群馬県八斗島
地先で、水位が約1メートル低下したと国は推定しています」との知事答弁
がありました。1メートルと聞けば、凄いと思いますが、質問は八ッ場ダム
だけの効果を聞いているのです。それに対し、上流の7つのダムの合計効果
を答弁するのは、ごまかし・はぐらかしと取られても仕方がありません。更
に、この1メートルという数字も、国は「一つ一つのダムの効果は検証でき
ない」としており、根拠のない大まかな数字でしかありません。専門家が国
の流量データから計算したところによると、利根川の中流地点での八ッ場ダ
ムの効果はわずか17センチであり、千葉県のある下流域ではほとんど効果は
なかったとされています。
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:   特別秘書の人件費について。
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昨年の特別秘書の年間報酬は1056万7065円ですが、その業務内容を問い合
わせたところ、①知事の政務に関すること、②知事の政策判断のための情報
収集、分析等に関することで、一般行政事務には関与しないとのことです。
政務とは何でしょうか? 公務とは文字通り、千葉県の行政のトップとして
の仕事です。

一方、政務とは広辞苑では「政治上の事務」とあり、ネット検索では「一人
の政治家としての仕事」と出てきます。専門家の中には、「政務担当秘書は、
知事のポケットマネーや、自身の政治資金の中から雇うべき」という意見も
あり、極めてあいまいな存在だと言えます。

また、千葉県の特別職職員の給与に関する条例では、知事秘書として、「月
額52万円から90万円の範囲内で知事が定める額」とありますが、これは公務
員としての通常の「知事秘書」の場合であり、森田知事の特別秘書とは全く
立場が違うと思われます。特別秘書にはタイムカードなどの勤怠管理も一切
行われておりません。全国で特別秘書をおいているのは、千葉県以外に、東
京、岩手、福島、埼玉、神奈川、長野、沖縄、の7県のみ。この際、特別秘
書に年間1000万円以上もの報酬を公金で払うことを、抜本的に見直すべきと
強く要望します。
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:   神奈川県で発生した行政情報の流出に関連して。
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12月6日、神奈川県で、富士通リースからデータ消去の委託を受けた(株)
ブロードリンクがきちんとデータを消去せず、行政情報を流出させた事件を
受け、千葉県では過去5年間の情報システム機器の廃棄に係るデータ消去の
状況について、調査をしたということです。
結果は、富士通リースから委託を受けたブロードリンクが消去処理したもの
は6件あり、全てについて、適正に消去したという作業報告書が上がってい
るとのことです。

しかし、そもそも千葉県と富士通リースの賃貸借契約ではデータ消去に至る
まで、富士通リースの業務であり再委託は認めていません。(株)ブロード
リンクに再委託することは契約違反です。それに言及していない県の調査は
極めて不十分です。契約違反は民間では大変な問題であり、富士通リースの
信用問題に関わると同時に、契約した千葉県のコンプライアンスも問われま
す。監査委員報告書でも、このことに関して調査した形跡はありません。こ
の際、ほかにも契約違反のものがないか、全庁的に徹底的に調査するべきで
す。これをせずして、千葉県民に対して責任ある県政を行っているとは到
底言えないことを強く指摘し、討論を終わります。